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第二百十九話 王宮

「陛下…」


「テイルから概ね伝わっては居るが…。 こんな時に弱音を吐いても良い相手が宰相一人と言うのも辛いものだな」


「…」


「忘れてくれ」


いつもの陛下とは違う、明らかに弱り切った一人のただの男性の姿がそこにはあった。


「陛下…。 クリスエル公爵の事はお忘れとは言わせませんぞ」


「なぜあいつの話が出て来る?」


「いつもあんなに仲良さそうにしていらっしゃるじゃありませんか。 とうとう老化が始まってしまわれましたかな?」


「あいつにリバーシでも将棋でも勝った事が無いからな。 あんな奴の事知らん」


「全くこのお方は…」


ガチャリ…。 扉が開き一人の人が入って来る。


「筋は良いじゃないか。 お前が弱い訳では無いさ。 こっちの方が早くテイル君に教えて貰っていたから経験の差だよ。 それよりも、私達の仲だろう? 何より今は同じ気持ちだろう。 子供みたいな事は言ってる時間じゃないんじゃないのか?」


「…うむ」


「とりあえず、テイル君達の調べは確かだった。 【色欲】、【嫉妬】両名の魔王化を確認した。 現在はマーガレット領に最も近い森に居る。 何せ相手が相手だ…我々が手を出せば壊滅は免れないだろうな」


「だろうな。 しかし、ただ見ているつもりは無いぞ? あの【暴食】がテイルに支援をしたと言うのならばこちらも支援をしよう。 テイル達に物資や武器を回そう。 必要なら森の雑魚の処理に騎士や魔法師達も一部出しても良い」


「ふむ、それならば良い案があるぞ?」


「ん?」


普段あまり見せる事の無い少し悪い笑みを浮かべるクリスエル公爵。


「テイル君はあまり貴族が好きじゃないとマキナから聞いていてね。 ならばいい機会じゃないか。 他の貴族達にも少しばかり恩を作らせてやろうじゃないか」


「なぜだ」


「何を言い出しているのですか…」


やれやれとわざとらしく身振りをするクリスエル公爵。


「分かっていないね。 テイル君が今後上手く商売をする為にコネクションを作ってあげるのさ」


「これだからこいつは…」


「ですが、まぁ一理はあるのではないですか? 万が一被害でも出ればマーガレット領の税率を一時的に下げるなども検討ですね」


「流石は宰相だね。 気が利くよ」


「はぁ…。 なんかテイルに申し訳なくなってきたぞ…」


陛下がどんどん申し訳なさそうに肩を落としていく。

それを見て面白くなりぷるぷると笑いを堪え始めるクリスエル公爵。


「もう、このお二人は相性が良いのやら悪いのやら…」


「決して険悪な訳じゃないさ」


「それは見ていても分かりますが…」


「まるで、私達には無かった平凡な童心に帰った…そんな所さ」


「…なるほど。 理解できます」


「あぁ、君もそうだったね」


「一応…。 ですが、幼い頃から無邪気に遊んでいた子は数人…」


「あぁ…そのうちの一人があの…」


怒らせるとオーガよりも怖いと噂の鬼嫁と言う宰相の奥さんがその幼馴染だと言う事が判明してしまった。


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