第二十話 ステータスオープン
「本日もお早いですね。 この調子だと早くランクが上がるかもしれませんよ」
受付嬢が笑顔で言ってくれるのでこちらも気が軽くなる。
「ありがとう。 初心者用のクエストだから比較的楽に出来たよ」
「初心者用クエストの中でも比較的高難易度の物なんですけどね」
あら。 ちょっと危なかったけど難なくクリアしたからそうでもないと思っていたや。
受付嬢から達成報酬を貰うと僕はギルドにある図書室へと向かう。
一応何か新しい本が増えていないかの確認だ。
流石に増えてはいない様だ。
本は比較的高価なので増えることはあまり期待出来ないかもしれない。
しかし一つだけ気になる本を見つけた。
【異世界からの来訪者】と言うタイトルだ。
気になって本を手に取りページをめくる。
ただのファンタジーな絵本ではあった。
だが、そこには前に恥ずかしくてやめた『ステータスオープン』について載っている。
メイカは図書室の外で待っているので試してみることにした。
「ステータスオープン!」
すると目の前に文字が浮かび上がってきた。
―――テイル・フォン・マルディン―――
種族:人族
ステータス
筋力 C
忍耐力 C
瞬発力 C
魔力 S
―所持スキル―
剣術lv6、軽剣術lv6、魔力制御lv5、錬金術lv5、属性魔法lv6、複合属性魔法lv4、付与魔法lv2、無属性魔法lv3、鑑定lv3
―――――――――――――――――――
なんと僕は希少な鑑定持ちだったらしい。
付与魔法も覚えている様だ。 これだけ見たらかなり異常である。
メイカが様子を見に来たのでステータスが見えるのか聞いてみる。
「メイカ。 ここに文字が浮いていないかい?」
するとメイカは素っ頓狂な声で
「はい?」
と返す。 見えないらしい。
「テイル様は最近ずっと根詰めていらっしゃるのでお疲れになっているのだと思いますよ。 少しはちゃんとお休みになった方がいいのでは?」
ちょっと酷い言われようである。 持っている本も本だしね。
「そうだね、そうかもしれない。 ちょっとゆっくり休める日を設けるよ」
メイカは安心したような声で、
「そうなさってください」
と言ってくれる。 メイカは僕にとても優しくてとても良い姉の様な存在だ。
鑑定魔法の事だけは伝えてもいいだろう。
「あ、口外しないで欲しいが、僕は鑑定が使えるようなんだ...」
「え...鑑定と言うのはあの鑑定ですか?」
流石にメイカでも知っていたようだ、そりゃ貴族だし知っているか。
「うん、その通り。 スキルを保有していれば大きな商会にも無条件でも入れてしまうあの鑑定。 さっき使えたからまさかとは思ったんだけどね」
「わかりました。 この命に代えても口外致しません」
流石にちょっとそれは重いかな!
「...そこは自分の命を第一に優先していいからね」
呼び出されたので受付で報酬の銅貨六枚をもらい、帰宅する時間になったので冒険者ギルドを後にするのだった。
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