第百九十一話 馬車にて…
俺は悪くないんだ…。
え? 俺は悪くないよね?
「あのアンナって子も側室にするの?」
とか
「ジャービル様みたいな歳上が好きなの?」
みたいなことを延々と問われ始めてさ…。
地獄だったよ。
マーリン様はそっと逃げて飛んでいるキング達と話してたし。
まぁ、プリンを作ってあげると言う話をしたらみんな目が変わったが…。
どこの世界も甘味に毒されているね。
ナナが
「エルフの里から家畜の世話に長けてる人を呼ぶよ!」
と意気込んでいた…。
色んな種族で賑わいそうだ。
まぁ…それも楽しそうでいいね。
そういえば馬車の中が暇すぎてけん玉を作って遊んでいたら皆の殺気が酷かったのでなんだかんだ全員分作る事になった。
俺は歩く製造マシーンなのだろうか。
むしろそれだけの木材を持ち歩いていたことを褒めて欲しい。
なんならまだ木材は沢山…。
ところでサリィは本当に王女なのか?凄いけん玉が上手いぞ?
昔テレビで見た何かの記録保持者みたいだ…。
逆にナナなんかはとても手先が器用とは思えないレベルの下手っぷりである。
マーガレット領にある川には鱒と鮎、山女魚が居るそうだ。
確認をしたら地球のものと一緒だった。
どうやらこの世界の創造神様の趣味による物らしい。
釣り人を見ては自分も釣りをしている様な感覚になって楽しむんだとか。
創造神様は龍神王様みたいに下界には気軽に降りられないせいらしい。
それをきいたら悲しくなってきたので川のほとりにでも祠を作ってあげようと思う。
(是非ともそうしてくれ…)
うわ…テレパシーの無駄遣い…
(う、うるさい! でも、祠を作ってくれるのは嬉しい事じゃ…転生を許可した甲斐がある)
ん? 許可?
(あー! あー! 通信が悪くなってきたので聞こえませーん!)
「せんぱ…テイル…その事で話があるの…」
「あぁ…いや…何となく察してるよ? すぐじゃなくていいから気持ちが落ち着いたら話してくれよ」
「ありがとう…。 大好き」
おもむろに抱きつかれたので周りからはもう凄い目で見られておりますとも。
えぇ、えぇ。
「テイル君? お話があります。 良いですね???」
「あの〜……! まだ誰にも食べさせてないスイーツの最初の試食とかで許して貰えませんか!」
「許します」
難を逃れました。
(このスイーツを私が知ってるって言ったら先輩死んじゃうくらい怒られるんですかねぇ?)
やめてくださいお願いします。
そんなこんなで着いたマーガレット領です。
門番の人にいきなりサイン求められるわ冒険者達にサイン求められるわ大変だったよ…。
なんなんだこの街。
領主いつになったら来るんだよの文句の一つでも飛んでくる気できたのに…。