第十八話 初討伐を終えメイカに怒られる。
メイカを連れて来るのを忘れていたなぁ…と冒険者ギルドへ帰還する道中で思い出す。
外出の際は連れていけと最近少し煩いんだよな...。
冒険者ギルドへと着いたので受付へ向かう。
「おかえりなさい。 お早いですね」
「群れを見つけたから、そこで討伐したんだよ。 初の魔物討伐だからちょっと怖かったよ」
「そうですか。 誰しもが通る道ですからね。 こまめに依頼を受けて慣れていってくださいね」
受付嬢が優しく微笑んでくる。
「そうさせてもらうよ」
そして討伐証明を六匹分出す。
「当ギルドではゴブリンの討伐証明の過剰分はひとつにつき銅貨一枚で買い取っていますがどうしますか?」
「じゃあお願いすることにするよ。 教えてくれてありがとう」
にこやかにお礼を言うと受付嬢が顔を赤らめる。
僕は何か気に障ることかはずかしめるようなことを言ってしまったのだろうか...。
そんなこんなして居ると心なしか鬼の様な表情に見えるメイカが後ろに立っていた。
「テイル様? 何をなさっているのですか?」
「はい...外出するのをメイカに伝え忘れてました。 ごめんなさい」
僕はその威圧感に謝る事しかできなかった...。
「どれだけ心配したと思ってるんですか! 魔物討伐だなんて御身に何かあったらどうするおつもりなんですか!」
めちゃくちゃ怒られた。
合計で銅貨七枚を受付嬢から受け取り帰路につく。
また明日も討伐任務を受けてみることにしたいと思う。
そういえばステータスは数値化出来ないのだろうか。
夢の男の世界のゲームでは【ステータスオープン】と唱えたらステータスを確認できるものがある。
試すのはちょっと恥ずかしいので、追々試してみれたらみたいものだ。
魔力が高いことは分かっているので他の数値が知りたいのだがね...。
如何せんね…。
そろそろ風呂に入ろう。 湯船は使わせて貰えなくなったが湯浴びはさせてもらえるので汗を流す。
まだこの歳なのにこういった瞬間に生を実感してしまう自分は、やはり【転生者】なのかもしれないと思ってしまう。
すると手が震えていることに気が付く。
初めて命を奪ったことを今になって思い出してしまっているらしい。
身体が震え始める。 だが、これを超えないと僕は先に進めないのだ。
武器を手にする覚悟を決めたのだから前に進むしかない。
僕は生きて、馬鹿にしてきた皆を見返して、いつかのし上がって行くんだ。
そんなことを考えていたら震えが収まってきたので、そそくさと着替えを済ませ、部屋にもどる。
この大きな屋敷に似ても似つかわない質素なベッドに潜り込み、横になる。
枕元には買ったばかりの愛剣を置いて眠ることにした。
やっぱり自分の武器というものは嬉しいものなんだね。
今日の戦闘なのか、武器を購入したからなのかは分からないが興奮してなかなか寝付けない。
眠りに落ちなくても横になっていれば休まる...と聞いたことがある。
とりあえず、目を閉じゆっくりと呼吸をし...時間が経つのを待つばかりだ。
そして朝まで眠れなかった。
隈とかできてないかな...。
今日も討伐任務をこなして近々良い枕でも買おうかな...。
そう心に誓いまた冒険者ギルドへと向かうことにしたのだった。