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第百八十七話 卒業式

その後の記憶はほとんど無い…と言っても一部はある。


「卒業生代表前へ」


その言葉で前に出ていくのは一応クラスメイトだった子だ。


「この学院及び王国の…いえ、大陸の平和は陛下の威光に依る物です。 しかし、それに応えたテイル・フォン・マーガレット様とほんのひと時とは言え同じ学び舎にて学べた事はこれ以上に無い栄誉でございます。 本校におきましては留学生も沢山在校しております。 しかし、様々な方と肩を並べ合い…マーガレット閣下に並び立てる様に国を問わずに皆で切磋致しました。 そして、不遇などと言われる人が存在しない世の中にしたいと、そう願いました! 我ら今年度卒業生及び在校生は陛下を、そしてマーガレット様を支えて行ける存在になりたいと思っている所存にございます。 そして、この発言の機会を下さった陛下、王女殿下に誠心誠意の感謝を!」


え? なんで俺の話ばっかり出るの!?

聞いてませんけど!

マーリン様だけ笑ってるよ。 このオッサン知ってたな?

してやられたわ!


「続いて、本学院校長のマーリン様よりお言葉です。」


マーリン様は前に出る。


「貴殿ら、卒業おめでとう。 心からの言葉だ。 そして入学式で伝えたと思うが在校中に宮廷魔法師や国家魔法師にスカウトされた者も今年度は群を抜いた数となっておる。 それはテイルの力があってこそじゃとワシは思う。 知っての通り、魔王や魔神王を倒しこの国の脅威とワシらよりも多く対峙してきたであろう。 それは皆も知っておろう。 それだけでない! このテイル・フォン・マーガレットと言う男はあの認可されたテーブルスポーツとして名高いチェスを開発し、さらには冷蔵庫なる魔道具も開発した! 彼の偉業を誰が止めよう! 誰が超えよう! 否! 出来るのは君達しかおらぬ!!! なればこそ、それを見越していた、王家、並びに公爵家、そしてマーガレット英雄爵を称え、それに追いつけるまで精進しようぞ!!! そして、王国に留まらず、この我らが住まう世界に新たな風を起こそうではないか!!!」


その場が大きく揺れ動いた。 かつてこれ程に盛り上がった卒業式など存在しないらしい。


「続いて、特別来賓として起こしくださった我らが王国の陛下よりお言葉を頂けるそうです。 皆、静かに傾聴する様に!」


一瞬の間があり、陛下が言葉を発する。

俺は一応臣下なのでお言葉と言った方が正解かもしれないが。


「おほん。 我らが王立セントウル魔法学院を卒業した者達よ! よくぞこの苦難を乗り越えてくれた! 我が身を以て全身全霊称えよう! この、不穏な時代に一粒の光を見出し、それに負けじと励んだ其方らは、英雄の一角とも言えよう! さぁ、腕を挙げよ! 我らが神達に! そして、そこにアホ面かましとる勇者殿に!!! ここからが正念場じゃ!!! 我らの想いはこの地、この世界にあり!!! さぁ、吠えろ若人共よ! …良い声だ!!! それを忘れずに邁進せよ!!!」


え? なんか訳わかんないけど!?

陛下ってこんな人だったの!?


「あ、言っておくが貴族が令息、令嬢達よ。 テイルの…そして正妻である、マキナ・フォン・クリスエルは相当に()()()ぞ? 御眼鏡に掛かるのなら覚悟する事だ!」


わぁぁぁぁぁ! っと沸き立った。

…なんで?


「次に英雄様よりお言葉があります。 前へどうぞ」


おい、聞いてないぞ!

マーリン様も陛下もニヤニヤしてやがる! 他の王族達も凄いニヤニヤしてる!

嵌められた!!!

とりあえず、前に出て、壇上よりも前に出て騎士流の最敬礼を行う。


「我らが命は! 忠義は陛下の! そしてこの世界の為に!」


そう言って立ち上がりそっと壇上へ向かう。

まさかこれをやるとは思って居なかったのかマーリン様や王族達は目を見開いた。


「ご紹介に賜ったテイル・フォン・マーガレットです。 殆ど出席は出来ませんでしたが、皆さんと一秒でも同じ学び舎に居られた事を誇らしく思います。 さて、私の開発した商品達を皆さんはご覧になりましたでしょう。 様々な物があったと思います。 どうでしたか? お気に召しましたか? これを理解出来ないのなら三流、理解出来て二流でしょう。 それを見て、感化され己も高みへ行きたいと思った者こそ一流です。 それは天職は関係ありません。 私は錬金術師です。 それでも為せるのです! 私に続きなさい! 英雄の()達よ!!!」


ぶわぁっと拍手が鳴った。

泣く子や親御さんまで現れた。


そっと壇上を降り、俺は元の席へと戻る。

ぱっと辺りを見回すと、陛下も進行の人も泣いてる事に気が付く。


どうしようかこれ…。


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