第十七話 はじめての魔物討伐
冒険者ギルドのクエスト掲示板を覗くことにした。
めぼしいクエストは何かあるだろうか。
残された張り紙で受けられる物は以下の物だった。
―Fランク ゴブリンの討伐―
目標討伐数 四体
報酬 銅貨五枚
討伐証明部位による計算で追加報酬あり。
―Fランク ウルフの討伐―
目標討伐数 四体
報酬 銅貨六枚
討伐証明部位による計算で追加報酬あり。
―ランク外 スライムの核の納品―
目標納品数 五個
報酬 銅貨二枚
追加納品で追加報酬あり。 個数により計算。
ランク外クエストとは冒険者以外でも受けることの出来るクエストだ。
たまに子供のお小遣い稼ぎに使われることもある。
大体のランク外クエストは街を出てすぐのところで行えるので、他のクエストのついでに受ける場合も多い。
とりあえずゴブリンの討伐クエストを受けることにした。
ゴブリンとウルフは街を出てすぐにある小さな森に大体生息しており、一匹ずつは弱いが群れて生活することが多く、手間取れば命に係わるクエストである。
家の書物にあった初級無属性魔法のサーチの魔法を行使してみることにする。
すると反応が複数個見つかった。
目標討伐数に満たせば良いので一番近く数の少ない群れを狙う。
見つけたッ! これはゴブリンだ! 六体居るようだ。 魔物図鑑の絵とそっくりなので見間違うことはない。
奇襲をかけるべく音を出さないように離れた距離からウィンドカーテンという風属性の魔法で辺りの音を遮断する。
そして、ある程度近づいたので石をゴブリンの奥側に投げる。
するとゴブリン達の意識はそちらに向く。
僕は一気に駆け抜け剣に魔力を流し剣を振り抜く。
「シッ!」と首に向かい横なぎに一閃する。
あまりの切れ味にここまで魔力は凄いのかと驚いてしまう。
首がぼとりと音を立てて地面に落ちる事で奥に意識が行っていたゴブリン達の視線が一斉にこちらを捉える。
数は五体。 こちら側には大きな木があり遮蔽物に出来る。
上手く立ち回れば無傷で討伐も可能かもしれない。
普段の感覚で動けば圧勝出来る相手ではあるのだが、初の実戦で思う様に身体が動かずにいるので少し考えて動かなければならないだろう。
一匹だけこちらに向かってきたゴブリンに向かって大振りの一撃。
するとゴブリンの胴体が二つに分かれる。
残りのゴブリンは気が動転してしまいオドオドしている。
この隙を逃すわけにはいかない。
二体並んでいるゴブリンに向かい「風の刃よ、切り裂け」と詠唱し、風属性魔法のウィンドカッターを行使する。
範囲が広かったため威力が拡散してしまったのか浅く入ってしまったので傷を押さえ叫んでいる。
その二体が戦闘に参加出来ない今が好機である。
残った二体のゴブリンが少し太めの木の棒を掲げながらこちらに向かってくる。
まずは一体! 僕は木の棒を受け流しする。
そして大きな隙が出来たところで首を小振りに一閃。
切れ味が良いためか首がまたもや落ちる。
残り一体。 こいつは頭が回るのか間合いを取る。
ここで睨み合いながら僕は「氷の壁よ、我を隔てろ」と氷属性魔法のアイスウォールを応用しゴブリンの脚を止める。
そしてすかさず剣を振りぬく。
ゴブリンは木の棒で防御するが、それも無駄だと言わんばかりに相手のゴブリンごと斬り伏せる。
動かなくなったので、討伐は一通り終了だろうか。
倒れている二体のゴブリンにも止めを刺し、討伐証明の右耳を切り取る。
そしてナイフを用い、人間で言う心臓の辺りから魔石を摘出する。
僕の初の魔物討伐は完全に終わりを迎えた。