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第百六十三話 公爵級

森に近付くとまずゴブリンが壁の様に並んでいる。

まるで将棋の歩兵の様に。


「将棋の真似事かぁ? 俺達冒険者にはそんな真似効かねぇぜ? おらああああ!」


まだ若い冒険者達が駆け出して行く。

急に魔素の濃度が濃くなったので錬金術で氷の壁を皆の前に建てる。


「ほう、血の鋭刃をも防ぐ氷ですか。 流石は勇者」


「その技の名前でお前の正体が分かったよ。 ヴァンパイアロードだろ、お前」


くしゃっと笑ったその年配の男がこちらに歩み寄ってくるとゴブリン達の塞いでいた道が割れる。

だが、これだけの数を使役出来るロードが居るのか…?


「貴方達が魔王を討った事によって各地の封印や、盟約と言う物が弱体化されました。 あとは、まるで我々がこの世界を統一しろと言わんがばかりに。 そして、私はデュークヴァンパイアでございます」


公爵級…? 御伽噺や文献でしか見た事ないレベルだな。


「魔王が反逆を恐れ我々を封印したのが原因で数が居なかったのですよ。 感謝していますよ。 貴方だけは我々の全力を以て同胞となってもらいましょう。 血の茨」


聖剣でその攻撃の全てを薙ぎ払う。


一つだけ可能性があるとしたら俺が魔神王を倒したことを知って居ない事だ。

今までの会話の中で魔神王が出てきていない。


「…我々には魔神王様の加護があるはず。 こうもあっさりと攻撃がいなされる事なんて…」


「魔神王なら死んだよ。 いや、俺が倒した」


顔面が引き攣るデュークヴァンパイア。


(テイルよ、街に大量のヴァンパイアロードが来たぞ。 サリィ王女達の援護が無ければこっちは危なかった、しかし、もう大丈夫だ)


「街にばら撒いたロード達は討たれましたか。 いやぁ、愉快愉快。 これであのお方の言っていた『陽動は本気で行えば他がおろそかになるから落としやすい』 と言うのは確かでしたね」


どういう事だ? 本命の王都は守られたはずだが。


(テイルちゃん、まさかとは思うけど他の国にこんな勢力送られてたら…墜ちるで)


まさか…。


「おや、その顔…。 気付きましたか。 さて、デュークヴァンパイアの私が命じる! さぁ、帝国と教国を蹂躙しなさい!」


嫌な予感が当たった。

だが、一個だけ方法は無くはない。 けど、周りの雑魚魔物が…。


「よっしゃ! 俺達で英雄殿に雑魚を近付かせるな! 王国最強の冒険者達の意地を見せろぉ!!」


ギルマスが声を上げたら一気に冒険者達が駆け出す。


しかし、そこには無数のデュークヴァンパイアの攻撃が降り注ぐ。


「氷の魔法が得意なのはテイル…貴方だけではありません。 アイスウォール!」


マキナの氷魔法だ。 これなら押せる。


一気に駆け出し、聖剣を振りぬく。

しかし、尻尾で受け流される。 悪に対した特攻武器なのに軽々と弾かれた。


「銀の入っていない武器など、どれも変わりないですよ。 上位のヴァンパイアを殺すには値しない」


いや、これで良い。 殺さなくて良い。

身体強化を一気に複数重ね、一気に打ち合う。


「くっ! だから無駄だと言っているでしょう! 諦めの悪い下等生物め!」


一瞬…ただ一歩下がり、即座に納刀。

反撃に出たデュークヴァンパイアの攻撃を待つ。


「私クラスになれば殺してからでも眷属には出来ます。 良い悪あがきでしたよ」


胴体を切断せんと鋭利な尻尾が迫り来る。


キシッ...剣を握る手が()く。

俺はこの技の名を小さく吐き捨てた。


「月影一心流秘儀、()()()…」


先に斬り裂かれたのはデュークヴァンパイアの身体だった。


「なんだ…その技は…!」


「御託は良いよ。 君には命令しなきゃいけない事があるからね」


今にも消え入りそうな身体で笑みを浮かべるデュークヴァンパイア。


「死んでも下等生物のいう事は聞くつもりはありません」


「そう、じゃあ、マジックブースト!テイム!!!」


詠唱破棄で強化したテイムを放った。


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