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第百六十二話 スタンピード

「何があったんですか?」


慌てて駆け寄っていく。

するとそこに居たのは深手を負った数人の新人風の冒険者。


「す、スタンピードだ…! 森の奥から大量の魔物が来たんだ!」


スタンピードだと!? まずはこの人達の治療をしなければ。

見たところ深い傷ではあるが手持ちのポーション類でどうにかなりそうだ。


「マキナ、重症者からこのポーションとか使って回復させて! 話を聞いて回るから」


「わかったわ」


俺は一番傷の浅い男に近寄る。


「大丈夫か? 一体何を見たんだ?」


「最初はゴブリンの群れだった…。 俺達でも対処出来るだろうって…でも様子が変だった。 ゴブリンだけじゃなくウルフ系のやつらや、オークも居た。 んで、奥の方にちらっとオーガと黒い魔物が見えたんだ。 逃げて報告しようとしたんだが見つかっちまって…」


「そうか…。 黒い魔物の特徴は?」


「遠くて分からなかった…が、羽が生えていた」


黒くて羽…。 悪魔種にも感じる。

もしそのスタンピードを操れるのだとしたら…。

中級クラス以上か。


「分かった。 ありがとう。 死者が出なくて良かったよ」


「あぁ…」


するとギルドの奥から巨大なハンマーを持ったギルド長のスティーブが現れた。


「全員に通達。 緊急でスタンピードの調査、場合によっては…押しつぶせ!!!」


周りを見てもハンマー系の武器の人は居ないので、物理的に潰せるのはマスターだけだろう。


「おおおおおおおおおおおおおお!!!」


一斉に声が上がる。


「今ならここにはあの英雄のマーガレット伯爵が居る! 怖い物なんてないぞ! 皆、行けぇ!!!」


俺を出汁に使いやがったな! まぁそれで士気が上がるならいいけど。


「治療はあらかた終わったけど、これ、かなり強敵が居るかも」


マキナの言葉に少し動揺してしまう。


「どういうこと?」


「あえて致命傷にならない所しか狙われて居ないの。 わざと森へと向かわせる様な…」


(テイルです。 三賢者の皆さん緊急で、王城と街の中心の防衛をお願いします)


(事情は分からんが緊急なら仕方なかろう。 任せておけ)


(ウチも準備オッケーや)


(久しぶりに魔法師ギルドでくつろいどったのに…)


ま、街の防衛はなんとかなるだろう。


「テイルよ、待たせたな!」


追加で協力な助っ人も来たし。


「ドーラ様、この状況をどうみますか?」


「うむ、悪魔種でも強い力と権限を持ったアークデビル以上が暗躍しとるな。 しかも、これは罠じゃろうな」


やはり同じ見解か。

ならなるべく街に戦力は残すべきだろう。


(分かって居ます。 皆を招集し、街の防衛に回ります)


困った時のフォンドニア嬢だ。 便利だなぁ。

ん? フォンドニア嬢にはノイズを掛けてたはずなのに…。


まぁ緊急事態だし気にしてられないか。


「聞いてくれ! これは罠の可能性がある! 今、賢者達に王都の防衛を任せた! 俺達は何かあったらすぐに王都へと帰還し防衛に回る!」


「おぉ!」


俺が声かけした時の方がリアクション小さいのはなんでだよ!


「野郎どもぉ! いくぜぇぇぇぇ!!!」


ギルドマスターの豹変ぶりに驚きながらも、王都の外の森へと皆で走り出した。


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