第百六十一話 綺麗な魔道具
俺達は冒険者ギルドの屋上に着いた。
「ここで一体何を…?」
「あぁ、待っててね。 うーん、もう良い時間だしそろそろ良いか。 これ外部魔力補填の必要な魔道具だから改良したいね」
魔道具が起動する。
すると夜空に綺麗な模様が描かれる。
これは多分王都のどこに居ても見えるものだろう。
「っ! 綺麗…!」
まだまだここからだ。 実験の都合上使用した事が無かったがよりリアルに、鮮明に映し出す事が出来る。
そこに映し出されたのは一つの宝石。
公爵家の家宝であるインペリアルトパーズだ。
「これって…」
「そうだよ、公爵家のインペリアルトパーズ。 綺麗に映せてるでしょ?」
これは俺の改良を施した魔道具の一つ。
まだ正式稼働には至っておらず、本来ならば勇者凱旋の日に使用されるものだった。
多分普通に起動しようとしたら宮廷魔法師が三人くらい魔力注がないと駄目なんだけどね。
「綺麗なピンク…。 まるで本物を見ているみたい」
「これがささやかなプレゼントだよ。 気に入ってくれた?」
「珍しくロマンチックな事をしてくれるのね? 戦闘大好きな錬金馬鹿だと思っていたけど違うみたいね?」
馬鹿って言われたのは心外だが、まぁ致し方ない。
「あぁ、それとプレゼントがもう一個あってね。 はい、これ」
風情に欠けるのでマジックバッグではなく、ポケットからそっと一つの小さな箱を取り出して手渡す。
「開けても…?」
軽く頷くと、小さな箱を開ける。
中にはインペリアルトパーズの指輪が入っていた。
「前にマキナは家宝のインペリアルトパーズが好きって執事の人から聞いたからさ、作ってみた」
「え? 手作り?」
軽く微笑んだ。
「材料から作ったさ」
「やっぱり錬金馬鹿ね…。 でも、嬉しい」
「マキナが最初だったのは覚えてたから、最初にプレゼントしないのは違うかなって。 でも、貰ったからって威張ったりしないでね?」
ふふっと悪戯な笑みでこちらを見る。
「さぁ、どうかしらね?」
やっぱり女の子は侮れない。
すると下が騒がしい事に気が付いた。
「誰かぁ! 回復が出来る奴は居ないかぁ!!!」
俺とマキナは目を合わせた。
「デートにも休憩が必要みたいね?」
「どんな休憩だよ…」
二人で階段を駆け下りた。