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第百五十六話 酒造りの賢者?

全員の自己紹介が済んだあと、すぐにジャービル様は酒造りについて皆と話し始めた。

いや、酒も良いんだけどさ…領地経営の事考えようよ…。


「テイルちゃん…。 新しい酒は無いんか? この世界にない感じの」


「ならば()()()()()…なんてどうでしょう」


この世界にはまだウィスキーは無い。 地球で言うとこの中世の初期位の文明に等しいだろう。


「なんやそれは?」


ジャービル様だけで無く、全員が初めて聞く言葉に首を傾げていた。


「麦などを蒸留して作る酒です。 寝かせれば寝かせるだけ価値が上がります…。 しかし、錬金術を用いたらどうなると思いますか? これは偉業とも言えましょうね?」


呆然とする一同。 しかし、不意にジャービル様は笑い出した。


「麦で言ったらエールなんかもそうやないんか? 二番煎じやろ!」


ふむ、そこから説明が必要か。


「ウィスキーの大きな点は、蒸留酒なので強いお酒である事、()()()()()()()()()()()()()()()()にあります。 運良く、この国には純ドワーフと言わずともハーフドワーフも多く存在しますからね。 度数が高くて…それでいて美味いとなればどうなるかはジャービル様ならお分かりだと思うのですが」


ジャービル様は息を呑んで真剣に聞いていた。


「な、なら単価は? それに制作に対するコスパはどうなんや?」


「原価は麦を自家栽培すれば、機材投資と、錬金術師一人で賄える計算です…。 しかし、人工的に熟成させるのなら錬金術師がもう一人必要になります。 これで、お分かりかと」


ジャービル様は生唾を飲み込んだ。 これは錬金術師をもっと育成出来るか?


「ええな、人件費と機材投資、機材維持程度で済むなら大儲けや…。 で、そのウィスキーってのを特産品にするんか?」


良い所を突いて来たな。 これは隠す必要は無いだろう。


「マーガレット領としてではなく、マーガレット家として出します。 マーガレット領にはこれからはもう一個特産品になりうる酒を造ってもらいます」


「もう一個?」


「それは、焼酎と言うお酒です。 同じく蒸留酒なのですが、材料によってさまざまな味が楽しめます」


さまざまな味に引っかかったのか少し考えている様なので補足する。


「焼酎は米、麦、芋、黒糖、栗など多様な物を原料に出来るので色々な人に受けると思います。 それに過去の勇者の発言を覚え、それを元に地球の文化を取り入れているサカイなどでは人気になるでしょうね? ねぇ、ジャービル様?」


完全にダンマリを決め込んだ。 召喚された勇者はこの世界を発展させる様な行為をしてはいけない。

では、メイカと行った定食屋で聞いた話は? 『魔王討伐に赴いた勇者様が異世界からの転移者らしく、その世界の料理らしいですよ!』 これにずっと引っ掛かりを感じていたのだ。


地球の…日本の料理を聞き、サカイに広めたとすれば、それが出来るのはジャービル様しか居ないのだから。


「分かった。 責任を持ってウチが担当しよう。 それでええんか?」


「えぇ、ですが…。 まだ地球の料理も幾つか知っています。 これを売り出すかどうかで悩んでいます」


ニヤリとしたジャービル様を見過ごさなかった。


「なら、マーガレット領の料理屋にのみレシピを卸せば良いんや。 ウチが最初にサカイでやったようにな」


やっぱりお前か! とは口が裂けても言えないのであった。


「それで他の貴族は納得するのでしょうか?」


「させる方法はいくらでもあるんやで? 商売人の力見せたるから任しとき? テイルちゃんの悪い様にはせぇへんから」


商売人って言うよりは完全に悪役だよこの賢者。


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