第百五十一話 王都へと...
ミザリア母様に問い詰められつつも軽く受け流しつつ居ると王都へとすぐに着いた。
だいぶ疲れたぞ…。
「ま、マーガレット伯爵っ! 人が増えているようで…っ! まさか…」
「アレク・フォン・マルディンだ」
「閣下…!」
あぁ、この人は昔アレク父様の傍に居たんだろう。
「久しいな、ロディ。 王宮で近衛騎士をしていると思ったが…」
「任務で腕の筋を数本斬られてしまい…。 王都の大門番長にされました」
「なんと…」
そういう理由があったのか。 これを渡しても良いだろうか…?
アレク父様とマーリン様を見やる。
二人とも頷いた。 これは『やって良いぞ』 って事だろう。
「ロディさん? 良ければこれを飲んで剣を一振りなさってみて下さい」
「えっ!? マーガレット子爵…まさか!」
一つ小さく頷き、飲むのを促す。
ロディがそれを口に含んだ瞬間から異変が起こった。
「なっ! 腕の…肘の違和感も痛みも一切が…」
「それはそうだよ。 それは王家へ追加献上するつもりだった万能薬の一本だからね」
皆固まっちゃった…。
国宝級の薬品を何も教えられずに飲まされたのだからその気持ちは分からなくはない。
「テイルよ、献上分の一本という事は…まだあるのか…?」
「ひみつです」
明らかにマーリン様とジャービル様が不穏な笑みを浮かべているのでこのジジババはスルーするのが一番だろう。
むしろ権限としては俺の方が上だし!
「わかった。 でも材料の入手にはドーラや知性のあるドラゴンとかの許可が必要になる。 そこからも困難だよ。 それが出来る人って居るの?」
全員がガッカリとしてしまった。
ふふふ、俺が龍神王に頼んで様々な龍種の涙を大量に手に入れた事はバレていない。
「てーいーるーくーん? 父上…もとい、龍神王から何を聞いた…いや、貰ったのかな???」
ドーラ!? 鋭い!?
「な、なにも? 国民全員に効果は違えど万能薬が配れる程の素材なんてもらって……ないよ……」
「ふぅん? まぁ良い」
良いって言いながらも周りはニヤニヤしてたり固まったりしてるよ…。
「龍神の一角として、命ずる。 その素材を以て後進達を育成せよ。 我からも周りに声をかけておいてやろう」
「たすかります…」
すっと耳元へと口を持ってきたサリィ。
「テイル様? 後で詳しく聞かせてくださいまし」
あぁ、やらかした…!
「テイル様、王宮からの命令にてなるべく早く登城なさる様にとのことでした」
ですよねぇ。
「分かりました。 この後すぐに向かうとお伝えください」
敬礼をし、王城の方へと向かっていく騎士の一人。
門番の方ですら口が空きっぱなし…。
俺もそんな顔しちゃだめなのかな…?