第百四十二話 マルディン家へ
「ですが結局父上は救えなかった…」
俺はぽつりと呟いてしまった。
すると、龍神王は腹を抱えながら笑い出す。
「なんだ、そんなことか。 朕を誰と思っている? 魔神王が貴殿の父上に繋いでおった呪縛の様な物ならとうに解いてある。 さぁ、すぐに行ってやれ」
「ありがとうございます!」
俺はそれだけ言ってすぐに駆け出す。
メイカも着いて来てくれている様だ。
すぐにマルディン家の屋敷が見えて来た。 かなり屋敷から近かったのだろう。
俺はすぐさまサーチを使い父上を探す。
…居ない。
だが、違和感がある。 隠蔽の魔法だろうか。
だとするなら…。
「ブッブッブー(こっちです!)」
なんかアルも着いて来てた…。
アルの道案内によりスムーズにそれらしき隠し扉を見つける事が出来たが、開け方が分からない。
「テイル様、五歩お下がりください」
メイカに言われた通り五歩下がる。
「雷閃」
え、この技って使える人実在したんだ…。
でも、この技…魔力纏ってるぞ。
物凄い圧の後隠し扉が瓦礫の山になっていった。
「メイカ? それ魔力使ってるみたいだけど…。 それと、この瓦礫どうしよっか?」
「魔力…ですか? あ、考えてませんでした」
錬金術で分解して砂状にする。
「いつ見ても訳が分かりませんね…」
「いや、これは咄嗟にやるには鑑定が必要だからね? ちゃんと素材を理解してないと出来ないよ」
なんか溜息をつかれてしまった。
「ブッブッブー(そういう問題じゃないと思うんですよね…)」
俺に味方は居なかった…。
とりあえず、暗い通路を進むとすぐに階段が出て来たので道なりに進んでいく。
かなり下っただろうか。
すると大きな扉が現れ、しっかりと閉ざされていた。
「これ、多分鍵は神気だよな…」
扉には『この先、神なる者に連なった者しか立ち入れぬ』 って書いてある。
「メイカ…これ…」
「テイル様のさっきの力をぶつけてみては…」
やるしかない様だ。
神気をそっと放出し、それを出来る限りコントロールした上で、扉の中央にある丸い皿の様な部分に押し付けた。
轟音と共にゆっくりと動き出す扉。
その最奥には氷漬けにされた父上がそこには居た。