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第百三十三話 王一角兎

「アル? ピュリフィケーション…詠唱せずに使えるの…?」


「ブッブッブ(基本的に聖属性とは相性が良いのであまり詠唱なんて要らないのです! 特に王一角兎(キングアルミラージ)だからかもしれませんけど!)」


「え! 王一角兎(キングアルミラージ)なの!?」


流石に驚愕してしまう。

一角兎(アルミラージ)の中でも王一角兎(キングアルミラージ)は伝説級の存在だ。 希少種を超えている。


「テイルよ…。 一目見た時からおかしいと思っておったのだ。 一角兎(アルミラージ)と瞳の奥の色が若干違う様に見えてな。 これで合点がいった。 もう驚きも出来んよ…。 して、二人は助かったのか?」


「現状はその様に思えます。 後はマーリン様達が間者を捕らえてくれて、魔道具を破壊してくれれば完全に安全と言えます」


「え? 間者?」


「な!」


「テイル卿! 騎士団長である私になぜ仰って下さらなかった!」


「仕方がないのです。 高度な隠蔽魔法が施されているはずです。 騎士のお方ではかなり苦戦するかと思います。 それに呪いの魔道具がまだ使えるかもしれません。 マーリン様達ならば解呪系の魔法も使えるでしょう。 何事も適材適所なのですよ。 むしろ、先ほどの呪いがあのままちゃんと具現化して襲ってきたら団長が居て下さる事で安心して戦えたと思います」


「ふむ。 それもそうであるな。 私は陛下の剣であり、盾だ。 適材適所…良い言葉をありがとうございます」


そういって団長が頭を下げると、マーリン様達が数名を縛り上げて大笑いしながら戻ってきた。


「テイルよ! 余裕じゃった! 皆強いのなんの! ワシら賢者は隠居しても良いかもしれんな!」


「言っておくが希少な賢者共には死ぬまできっちりと働いてもらうからな。 そうだな。 勇者のサポートを命じる」


皆困惑している。

アルですらだ。


「あぁ、そうじゃ。 王一角兎(キングアルミラージ)のアルよ。 貴殿には助けられた。 勝手ながら『勇者の友』と言う称号を贈らせて貰う事にする。 恩人に何も贈らないのは王の威厳に関わるのでな」


「ブッブッブー(勇者の従者が良いけどそれでいいですよ! うれしい!)」


「陛下、アルが喜んでおります」


「そうか。 では、アルよ、こちらへ来てはくれないか?」


そして陛下や王妃様、王子殿下に撫でまわされはじめ、とても喜んでいるアルだった。


「ブッブッブー!(撫でるのが上手ですー!)」


「テイルよ、アルはなんと言っているのだ?」


「はっ! 撫でるのがお上手だと言っております」


陛下達が笑みを浮かべた。 これまで張りつめていたからよりその笑顔は尊いものに見えた。


「テイル…。 あの一角兎(アルミラージ)は、王一角兎(キングアルミラージ)だったのか?」


マーリン様が耳打ちして来る。

流石に困惑している様子だ。 マーリン様も王一角兎は見た事無いんだろうなぁ。


「そうらしいですよ。 本人談ですけど」


「あぁ、もういつ死んでもいいわい」


いや、駄目だから…!

まだまだその命は燃やして貰わないと困るんだ。

学院の事もあるからね。


「いや、マーリン? あんた仕事せんかいな」


ジャービル様の鋭いツッコミをされて不貞腐れてしまい陛下達に混じってアルを愛でに行ったマーリン様だった。


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