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第百十話 幸せの一角兎

俺は緊急を要したので、本当は使いたくなかったがテレパシーを三賢者全員に対して同時に繋ぐ。

無理矢理繋いだので彼らも驚くだろうが致し方ない。


「テイルです。 緊急なので三人同時に繋いでます。 魔王軍四天王二人に強襲されましたが、両方共倒せましたが有力な情報は無しです…。 が四天王の一人が魔王と帝国が手を組んでるのを自白しました」


「なんじゃと! おい、テイル! それは確かなのか! と言うか相変わらず出鱈目じゃな...」


「はい、喋り過ぎだともう片方の魔族に頭を握りつぶされていましたから、流石に本当だと思います。 じゃなきゃあそこまでする意図が読めません」


「せやな、帝国やったらやりかねんわ」


ジャービル様が真剣な声色で話に入ってくる。

帝国だったらやりかねないと言うのはどういう事だろうか。


「帝国ならやりかねないとは?」


俺には聞いておく権利があるだろう。


「せやな、帝国が魔族を生み出しとる可能性が高くてな? 実際調べてみたら人体実験をした形跡があったわ。 この事を知っとるんは、今話しとる三賢者と、テイル、王国の国王陛下のみや」


だとするのなら、魔王の居城は帝国にある可能性が高い。

ただし、その魔王の居城が陽動や偽物で無ければの話にはなってくるが。


「丁度帝国方面の魔素がかなり濃いです。 どなたか陛下に伝えに行ってはくれませんか?」


「ふむ、こちらは完全に白じゃったからな、ワシらが向かおう」


ガイル様が行くのなら安心だ。 しかし、もう探索終わったのか…。 流石賢者。


「ならばワシとジャービルは探索が終わり次第、すぐにテイルと合流でいいな」


「はい。 ガイル様は皆を集めてこちらへと向かって下さい」


「うむ、分かった」


とりあえず最優先は帝都の王城へと向かう事だろう。 魔王は居なくても何かはあるはずだ。

走りながらテレパシーを使っていたので気付いたら帝国領土内に入っていた。

しかし、武力が全てで強者こそが正義と言う帝国のやり方は気にくわない。

何より人体実験なんて非人道的過ぎる。


「帝都を目指します。 何かあればまた繋げます」


ガサガサと茂った草が揺れる。 魔素が濃いので強い魔物だろうか。

一応、刀を取り出し、いつでも戦える様に臨戦態勢になる。


すると、飛び出して来たのは一匹の一角兎(アルミラージ)

こいつ自身に際立った戦闘能力は無いが、その角は極めて硬度があるために希少魔物として討伐対象になっている。

そして、魔物図鑑には『邪なモノを嫌い、主に幸運をもたらす』 とあったのを記憶している。


「ブッブー!」


こちらに奇妙な鳴き声を上げながら駆け寄ってくる一角兎(アルミラージ)。 敵意は感じない。

納刀し、様子を見ている事にした。


「ブッブ!」


すると一角兎(アルミラージ)は俺の足にスリスリと顔を擦り付けてくるではないか。

これは服従の合図だったか…。 俺を主として認めた…って事かな?

すると強烈な頭痛が走り、呪文が頭に入ってくる。


これは…。 テイムの魔法の様だ…本来テイマーの天職の人か、賢者にしか使えないはずなんだが…。

と言うよりも、無理矢理俺に呪文を授けたと言う事は世界が…、この世界の神が俺にこの子をテイムしろと言っている様なものだと俺は思ってしまう。


「汝、我が配下にならんとするか? テイム」


魔法の詠唱が疑問形で終わっているのが不思議だが、立派な詠唱だ。

そして掛けられた対象は仲間になるか、ならないかを選択が出来るそうだ。


「ブーブー(仲間になりたいですっ!)」


明らかに鳴き声が理解出来ている。 妄想なんかじゃなさそうだ。

俺はこの子に『アル』 と名前を付けた。

ブーちゃんでも良かったんだけど嫌がられたらちょっと悲しくなるので…。


「ブー!(とっても良い名前をありがとうございます!)」


「うん、これからよろしくね!」


それを見たメイカは「もう何も怖くありませんし、驚きません」 と完全に悟りを開いていた。


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