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第百八話 疾風

ファルコも今までの魔族同様鋭い爪で攻撃して来る。


「躱すだけでは何も始まりませんよ? それとも素直に首を差し出しますか?」


ファルコは必ず首だけを狙ってくる。

敢えて身体強化を外し、地力だけで勝負してみる事にする。

まぁ、身体強化なしでもメイカとは何合かは打ち合える位には強い自信はある。

過去には悪魔に憑かれて居て力が発揮出来なかった様子ではあったがあの剣聖ですら押し返したからね。


「ごめん、観察してたや。 じゃあ、相手してあげよっかな」


軽く挑発してみる。 この手のプライド高そうな奴には煽りが良く効く。


「減らず口をッ!」


幾重にも重なり合う刀と爪。 その度に鋭い金属音が響き渡る。

魔王軍の四天王って言っても、メイカよりは身体能力が低いのかもしれない。

手加減している様子は見受けられないし、地力の問題だろうか。


俺の剣閃は相手を試すように早くなっていく。

月影一心流の型は速さが命になっているので加速していくという事は別段難しい事ではない。


「魔王軍四天王って言うから期待したんだけどな。 これじゃ拍子抜けだよ」


「くっ…。 私より速いなど決して認めんぞ!」


ふむ、じゃあ速さとは何かこいつに教えてあげよう。

墓に持って行く良いお土産にしてもらうことにする。


「速さって言うのは、それを超えると光になるんだよ」


更にギアを上げる。 速度は身体強化無しの最高値くらいには達しただろうか。

ここで俺は一度大きくバックステップをし、刀を納刀する。

ふぅ…。 と集中する為に大きく空気を吐き出す。


「おや? ギブアップですか? ならば苦しまない様に貴方を一撃で屠って差し上げます」


「まず聞かせろ。 あの男達はなんだ?」


「あれですか? ただの帝国の兵士ですよ。 悪魔を憑かせて操って居ますが」


「そうか。 なら助けなきゃな。 純高なる光よ、すべての魔を払え。 ピュリフィケーション」


ファルコは驚き、かなりオーバーなリアクションで動揺を見せて来る。

魔族だから知ってるかと思ったけど、意外と知られてないんだなぁ、この秘密。


「驚くなよ。 勇者になれるくらいの錬金術師なんだから、全ての魔法が扱えたっておかしくは無いだろう?」


「そんな出鱈目な! 賢者以上ではないか! やはり生かしてはおけませんね!」


超高速(・・・)で俺に向かってくるファルコ。 だがこれでは犬死だ。

もう少し聞きたい事もあるし、一撃で倒すのは無しだ。


一瞬…たった一瞬の出来事だった。

今にも襲い掛かろう、斬りかかろうとするファルコの腕を斬り落としたのだ。


「貴様ァ! 何をした!!!」


これ以上の攻撃は危険と判断したのか、かなり大きめにバックステップをし、俺に対して吠えて来る。


「なに、簡単さ。 単純に超高速程度(・・・・・)では追いつけない、『光速』の居合を放っただけだよ。 そうだ、聞きたい事があるんだよ。 魔王軍に帝国は力を貸しているのか?」


「答える必要がっ…」


光速の斬撃で残った方の腕も斬り落とす。

流石にここまで速い…いや、疾いと表した方が良い程の疾さは前世では有り得なかった。

これも龍の加護や地球の神々からの加護の力だろうか。


「答えないのなら、どんどん身体を失っていくよ」


「忌々しい勇者め! あぁ、帝国は魔王に力を貸している。 と言うよりは…」


そこでファルコの身体が何者かによって持ち上げられる。

同じ魔王軍の者だろうか。


「話し過ぎたな、ファルコ。 一番新参の四天王だからと活躍の場を与えようとしたがこの有様か」


「ミルス! 私は悪くない! この勇者が悪いのだ!」


「ミルス様だろう? お前程度が俺様を見下すな。 魔王軍の掟を知っているな? 裏切者には死だ」


ファルコの頭は軽く握られただけで潰れてしまった。

握力どんだけあるんだよ。


「俺様の名はミルスだ…って聞いてたか。 勇者よ、俺様についてこい。 従わないのなら痛い目を見て貰おう」


先ほどのファルコとは次元の違う圧力を感じた俺はすかさず身体強化を重ねて掛け、臨戦態勢に入った。


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