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第百四話 テレパシー

魔王は伝承では瘴気を放つ巨大な城を構えているらしい。

瘴気と言う物が多分高濃度の魔素なのだとしたら合点がいくんだがな…。

深く考え込んでいるといつの間にか傍に居たマーリン様に声を掛けられる。


「魔王の事で悩んでおるな?」


「そうなんですよね、魔王城って瘴気を放ってました?」


「放っておったな。常にザクザクと身体を刺されてる様な感覚じゃったわい」


あぁ、答えが分かった。 やはり魔素だと思う。

魔素は高濃度になれば有害である。 それは俺の身体強化でも確認済みだ。

あれは魔素を圧縮させて身体に纏わせる物だからだろう。 今は圧縮させてない普通の魔素でも身体強化に使える様にはなったけど。


「魔王の居城、分かるかも…」


「なに? どういう奇天烈な思考をしておるんじゃ」


「いや、簡単ですよ? 瘴気の正体は高濃度の魔素です。 なら魔法のサーチを薄く引き伸ばせばいいんですよ」


言ってる事が分からないと言う顔だったので実践する事にした。

マーリン様の手を取り、そこに高濃度に圧縮した魔素を当ててみる。


「な!? これは魔王城の瘴気!」


「違いますよ。 これはそこら中にある魔素ですよ。 ただ圧縮しただけです」


「ならば、サーチを発動すれば!」


「そうですね、でも超広範囲の必要がありますね。 それこそ国をまたぐ様な」


ぐぬぬ。と言う表現が一番合っているだろう顔をするマーリン様はちょっと面白いな。

まず、テレパシーの魔法が使える人がどれだけ居るのか知っておかないといけないな。

これが使えれば他国に居城があったとて動きやすい。


「魔法の中にあるテレパシーってどれくらい使える人が居ますか? 念話の様な感じの魔法だったと思うんですけど」


「居らん。 あれは御伽噺だけの存在じゃ。 失われた魔法(ロストマジック)じゃよ。 勇者クロキは使えたがな」


これはかなりの大誤算だ。

物は試しで俺もテレパシーを行使してみたいと思った。


「テレパシーの詠唱を教えて貰っても良いですか?」


「…良いぞ。 我が声よ、魔力に乗って世界の果てまで届け。 テレパシー」


何も発動しない。 顔が真っ赤だ。 全ての魔法が行使可能と言われる賢者の天職でも行使出来ない魔法。

流石は失われた魔法(ロストマジック)だ。

一応ダメ元で試すだけ試してみよう。 タダだし。


「我が声よ、魔力に乗って世界の果てまで届け。 テレパシー」


(あー、聞こえますか?)


「うわ! 頭に声が響くぞ…テレパシー成功じゃ」


あぁ…発動出来ちゃったよ。 正直予想は出来ていた。

声を体外放出した魔力に乗せる。 こんなの電話を知らなかったらイメージ出来なかった。

前世には感謝だ。


「テイル! こんなの国王陛下に知られてみろ! 侯爵…いや、下手したらもう国王にされるかもしれん」


「言ってしまえばただの魔法ですよね? 理屈教えましょうか?」


凄い躊躇ってる。 師匠が弟子に教わるのはプライドが許さないかな?

ちょっとだけ様子を伺ってみよう。


いや、これなんか違うぞ?


「まぁそうじゃがな…。 何が欲しいんじゃ? 女は要らんじゃろ?」


あぁ、対価を取られると思ってたのね。

マーリン様に対価貰って魔法教えたら首が飛ぶぞ。 リアルに。


「無償で良いですよ。 その代わり、誰にも教えないでください。 まぁ、教えても凄い魔力制御必要なので賢者くらいじゃないと発動しませんけど」


「分かった、誓おう」


「それよりも、まずはサーチを引き伸ばす所からですね。 文献や物語では魔王城は姿が見えないと書いてありましたが、多分近づいて解呪で行けますよね? 姿見えなくても瘴気漏れてれば意味無いのに。 魔王は馬鹿なのかな?」


「うむ、そうじゃな。 その方法で突破した。 どうせなら他の三賢者も呼ぼうかの。 テイルがテレパシーを使った上に魔王を馬鹿呼ばわりしたと聞いたらすぐに飛んできそうじゃ」


いや、多分本当に飛んで来る? いや、それも失われた魔法(ロストマジック)か。


まぁ、随分と古典的な方法で探すけどこれが一番早いよな?

というより、教える立場が変わってしまった…。

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