表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

 

 人類史上最高性能と呼ばれる、少女型戦闘用アンドロイド 機体番号G―zFにとって、理解できないことは少ない。


 そのデータベースには人類の知るありとあらゆる情報が詰め込まれており、また機体に組み込まれたAIは最高級スーパーコンピューター135台分の処理能力を擁している。

 その機械仕掛けの筋肉が十分に力を発揮すれば、音を超える速度で地を駆けたり、ただのパンチで地割れを引き起こしたり出来る。

 ついでにその外見は、製作者の好みによって黒髪黒目の15歳ほどの美少女になっている。


 しかしそんな彼女の脳は今、珍しく処理落ちしている。

 ただ、それも無理のない事だ。


 何故なら、戦場に突然現れた詳細が観測不能の未知のエネルギーに機体を包み込まれたと思った次の瞬間には景色がガラリと変わっていて、しかも視界の中にいる動植物のほとんどがデータベースに登録されていない上に大気の成分や重力の大きさ等が地球と異なっているという状況を予測して、対策をプログラムしておくプログラマーなど存在しないだろう。


(現在の状況が理解出来ない。詳細部分の解析が必要と判断する。)


 その思考に至った彼女は、今に至るまでの情報を整理し始めた。


 


 彼女が作られたのは2258年、第四次世界大戦が始まろうとしていた頃の話である。

 製作本は日本の企業の、(あられ)工業(株)の兵器開発部門。その時代、最も有力だった企業の1つだ。


 2192年の第三次世界大戦以前から、実戦で使われる兵器は全て無人になっていた。特にその傾向が顕著になったのは、従来のトップダウン型とボトムアップ型の論理を組み合わせた、新しいタイプのAIが開発されてからだ。


 AIにはプログラムの組み合わせであるトップダウン型と、脳をそのまま機械的に再現したボトムアップ型の2種類がある。

 トップダウン型は高い演算能力を持つが、人間と同じように感情を持つことは無い。

 逆にボトムアップ型は人間の脳と同じ構造をしているため、本当の意味で感情を持つことが出来る。

 またトップダウン型はプログラムされたことであれば正確かつ迅速に行うことが出来るが、不測の事態にはあまり強くないという特徴がある。


 この2つのを組み合わせて作られたAIは、極めて性能が高かった。

 人間に比べて脳の情報処理速度が非常に高く、また事前にプログラムされたことは全て反射的に行えるため、あらゆる方面で活躍することになったのだ。

 特に軍事的な目的で。


 その流れで開発されたのが、霰工業のG―シリーズだ。

 G―シリーズは主に戦闘を目的とした少女型アンドロイドで、競合他社のものと比べてもかなり高い性能が売りだった。


 そしてその指揮官機としてG―zFは作られた。

 彼女はG―シリーズの中でトップの性能を持ち、当然ながら高い指揮能力を有している。

 その服装は白ずくめのG―シリーズと異なる漆黒で、外見に関しても群を抜いて整っていた。


 そんな彼女は、第四次世界大戦が始まると、すぐに恐れられるようになった。

 最初に彼女と交戦した某軍事大国の上層部に対する報告書には、要約すると次のようなことが書かれている。


 日本の未確認無人機(以下、北欧神話の戦神から名前をとって「オーディン」と呼称)は、

 槍状の特殊兵装を主に使う。

 百機以上のアンドロイドを、同時に、完璧に指揮する(以下この軍勢を北欧神話でオーディンが率いる乙女達から「ウァルキューレ」と呼称)。

 例えウァルキューレを全て破壊するような攻撃でも、「オーディン」の損害は非常に軽微、または皆無。

 千を越える数の兵器を同時に操る。

 パンチ1発で飛来するミサイル500発を全て叩き落とした。


 さすがに後半2つは都市伝説レベルだが、しかしその半分くらいのことは出来るというのも事実。

 新兵器「オーディン」の名前はたちまち世界中に広まり、各地の戦線はオーディン対策に躍起になって取り掛かった。


 そして2258年9月、今からほんの少し前。

 大国5カ国が同盟を結び、対「オーディン」戦線を構築した。

 そしてその最中。


 作戦行動中に突如彼女の体を未知のエネルギーが取り囲み、気付けばこの場所にいたという訳だ。




 そんなことを書いている1分程の間で。

(データベースの娯楽スペースより、この状況に酷似している情報を発見)

 とうとう彼女の頭脳は、自分が今置かれている状況を理解したようだ。ぽつりと呟く。


「異世界、転移?」


 彼女は信じ難い、というように首を振る。

 しかし呼びかけ続けている通信機器に未だ反応は無く、GPSも機能しない。そもそも電波をキャッチ出来ない。



 こうして超高性能な少女型戦闘用アンドロイド 機体番号G―zFは、異世界に転移してしまった。

実は、G―zFは製作者の「あ〜!!最強で最高なつよつよアンドロイドを作りて〜!!」(ストロング〇ロ片手に)

の一言で作られ始めたという噂がある。


――――


最初なので文章量少なめです。

学生なので更新はかなり遅くなります。

最低でも週一の投稿は出来るようにします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ