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10階の猛是  作者: 凪沙一人
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隕石落下

「貴様ら神問官インクイジターが2つの“契約の箱(アーク)”を揃えた。鍵が手に入らないのであれば箱ごと、この街を破壊するまで。今まで通り倭とユーロピアに分かれていれば倭側の箱が“救いの箱”である可能性があるうちは使えぬ手ではあったがな。」

 有史以来、“契約の箱”を破壊した者など居ない。もし居れば今の状況もないのだが。

「お前達も知っての通り本来この箱は対になる鍵がなければ意味がない。しかし、それが揃ったところで箱が開くことはない。何故ならダイヤモンド・スカルには神の加護を受ける者と悪魔に魂を売る者にしか開ける事ができないと記されているからだ!」

「なるほど。」

 猟魔が何か腑に落ちたように頷いた。

「つまり二つの箱と、どちらに使うか判らない一つの鍵がある状態で悪魔に魂を売る者にとって神の加護を受ける者、すなわち猛是が邪魔になる訳か。ダイヤモンド・スカルの内容については、ある程度、推論は立てていたんだが助かる。」

「もはや、そんな事はどうでもいい。些細な事に過ぎぬ。“見張る者(エグリゴリ)”は予告した筈だ。この深熟まちに三発目の隕石を落下させると。今こそ恐怖の大王にひれ伏すがよい! 」

 シンは猟魔を嘲るように叫んだ。過去に二回、隕石落下をさせている以上、ハッタリと云うことはないだろう。隕石の被害は直径よりも大きい。そして落下速度によっても大きく異なる。放射性物質や爆発物、毒性など未知の物であれば被害は全く読めない。それでも出来る限り最小限に被害を留める為に彩華や玄武たちは動いた。


「オデット、ライラ、二人とも避難誘導に回って。ここはヴィエールがなんとかしてくれるから。」

 マリーナの言葉にヴィエールは溜め息を吐いた。

「なんとも元枢機卿使いの粗い、前教皇の御孫様だ。」

「こっちは機体安定させるんで手一杯なんだから仕方ないでしょ! 期待してるんだからね。」

「はいはい。出来る限り期待にお応えしましょう。」

 マリーナが機体を安定させヴィエールがシンの放った黄金のデルタ型戦闘機の相手をしている間にオデットとライラは下船した。唐京の北側では北都から来た老師と麗華が奔走していた。


「クックック。本当に恐怖の大王を止められると思っているのか? 」

「当たり前だ。俺は神に問う者、正義を貫く者たる神問官だ。七柱だろうが何だろうが悪魔に魂を売った奴の思い通りにさせる訳にはいかないんでね。」

 嘲笑するシンに対して猛是は毅然と答えた。

「いつも、そのくらい本気を出してもらえると助かるんだがな。」

 猟魔がぼやくように言った。

「お前、そんなに俺が、しょっちゅう本気を出すような事態を望んでんのか? 」

 すると猟魔は少し考え込んだ。

「なるほど、それは困るか。“怒りの日(ディエス・イレ)”、“最終戦争ハルマゲドン”、“最後の審判”、“神々の黄昏(ラグナロク)”が日替わりで起きては、この星がもたないね。それじゃ、その偶の本気で“恐怖の大王”を片付けてもらえるかな? 」

「お前も被害が深熟から漏れないように、しっかり守れよ! 」

「… 鋭意、努力はしよう。」

 猟魔も猛是の本当の本気を実際に見た経験は無かった。しかし相手が相手だ。猛是も手加減するとは思えない。猛是は身構えると“隕石の金属器具メテオ・メタル・マテリアル”から造られた二本の白銀の直刀を振り上げ、しっかり白銀の狼を天に向けて放った。慌てたのは猟魔だった。

「そっちが先かよ…。」

 愚痴を言っている暇はない。急いでベルトを抜いて一振し、一直線の細身の刀と化すと、刀身から追うように蒼き龍を天に放った。直後に上空で閃光が走り空気が震えた。

「猛是っ! あちらが先なら先と言ってもらえるかな? 放射線やら砕けた破片の流星雨を防ぐのが遅れたらどうするつもりだ? 」

「シンと戦ってる間に“恐怖の大王”とやらが墜ちてきたら手が回らないかもしれねぇだろ? それに猟魔なら必ず防いでくれるって信じてたしな。」

 そう言われては猟魔も文句が言えず呆れたように溜め息を吐いた。

「ふぅ。まぁいい。とっとと七柱とやらをへし折ってこい。」

「おう!」

 猛是が両手に白銀の直刀を構えるとシンは自分の身長の倍はあろう大鎌を取り出した。

「へぇ。それがあんたの“古代の遺物(エンシェントレリック)”ってわけか。」

「いいや。これこそは七柱しか持つことの許されぬ七曜刃しちようじんが一振、“収穫の鎌”だ。もっとも、この鎌が刈り取り収穫するのは人間の命。故に人間たちはこれを“死神の鎌(デスサイズ)”と呼ぶようだがな! 」

 それを聞いた猛是は白銀の直刀を収めた。

「なんだ、降参か? 恐怖の大王を止めて力を使い果たしたか? 今さら命乞いなど聞くと思うなよ! 」

「誰が命乞いなんか、するかよ。手前てめぇが“死神の鎌”出すってんなら、こっちもとっておきを見せてやるよ!」

 猛是が掌を地面に向けると光の紋様が浮かび、アスファルトが割れ、その中から二本の木刀が現れた。

「とっておきなどと言うから何を出すのかと思えば木刀だと? そんなものでこの“死神の鎌”を防げるとでも思っているのかっ! 」

シンは全力で“死神の鎌”を振り下ろしたが、猛是はそれを軽々と弾き返したのだった。

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