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パープリン大将と、僕。  作者: 運田 兵鉄
1/8

パープリン大将と、僕。 たまには怒ることもある。

パープリン大将と言われる、デブがいる。彼は頭が悪い、しかし純粋である。金持ちの子供で金に苦労したことは無い。莫大な遺産の下で、金は使い放題、しかし運が強く絶対に負けない。そのため、使っても、使っても、金は減らない。そのうえギャンブル好きで、あらゆるギャンブル場に出没しては、騒動を解決していく。たまには、怒ることもある。

太ったでっぷり腹の出た丸坊主の男がいる。恐らく120キロ、身長は180センチは越しているだろう、この相撲取りと間違えられる風貌の男が、パープリン大将である。歳は四十か、五十か、不明だがいずれにしろ、いい親父である。その、大きい体から来るのか、その素性からか、安心感と並みでない包容力を感じさせる男であるが、長所か短所か分からないが知性は全く感じられない、いくぶん斜視の目を上目使いで、甲高い声で「ふふふーん、パープリン、おほほーん」と口癖のように、発している様に思われる。

パープリン大将のそばに何時もいるのが、三吉だ。三吉は150センチそこそこの小男だ。何か揉め事があると

「お前ら、おぼえていやがれー」と、捨てセリフを吐いてパープリン大将の後ろに隠れるタイプの男だ。

頭は大将より良さそう、小判サメの様だがその、かいがいしいく世話を焼く姿を見ると心底パープリン大将に惚れているのだろうと思われる。

僕が初めて、パープリン大将と遭遇したのは船橋の競馬場だった。コース近くの最前列のコンクリート席でフランクフルトソーセージを豪快に二口で食べ切ってしまう姿に驚いた。その直後に競馬新聞に目をやり、コンクリート席に目をやり、隣に投げ出したように置いてあった小ぶりのハンドバックから札束を一つ出して隣にいた小男に何か言った。小男は札束を受け取ると走って馬券を買いに行った。

三列目に座っていた僕はその様子が覗くでもなく目に入った。唖然として見ている僕に隣りにいた親爺が言った。「あれがパープリン大将だよ」親爺が暇に任せて僕に話し始めた、僕は黙って訊いていた、二年前今の場所で、小男がヤクザに絡まれたそうだ、殴られ血だらけの小男がパープリン大将の後ろに隠れた、ヤクザはパープリン大将にも絡み、殴る蹴るの暴行をしたそうだが大将は、びくともせず無反応で堪えていたそうだ、やがてヤクザが、何を言ったのか判らないが、恐らく暴言だろう、急に、顔を真っ赤にして、ヤクザの顔面に頭突きを一発かましたそうだ、ヤクザはもんどりうって、顔面血だらけで気を失って倒れた、大将は「パープリン」と発してハンドバックから札束を一つ血だらけのヤクザの顔面に、放り投げて去った。なんでも、大金持ちの息子らしい、頭は弱いが、運だけは誰にも負けないらしい、さっき新聞を見て金を渡しただろう、あれ、新聞なんか見てないんだよ。コクリート席の上を蟻が二匹這ってたのを見て2絡みがらみの馬券を買いに行かせたんだ。気持ち悪いだろ。だからパープリン大将の周りには誰も座らないんだよ。



夢の様なデブの話、ギャンブラーの鏡の様な男。

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