援軍と敵機の襲来
そして僕たちは、惑星スカルと惑星G間……かなり惑星G寄りの、おそらく輸送艦隊はここを通るだろうというポイントに待機した。
待ち伏せだ。いつでも来いという姿勢なんだけど。
「まだ来てないね、輸送艦隊」
「待ち伏せなのですから、私たちが先に到着するのは当然ですよ、麻実也艦長」
僕のイメージでしかないのだけれど、どうも海戦というものは敵との出会いに時間がかかる。
広い広い宇宙を何日もかけて目的地を目指すのだから、そういうものなのだろうとは理解できるけど。
「すぐにドンパチが始まるのはフィクションの中だけか」
「映画や物語みたいにしょっちゅう戦闘があったら、私たちも参ってしまうでしょうね」
乙姫はクスクスと上品に笑った。
「ですけど麻実也艦長、何日も待ち伏せや滞在することができるのは、船の特性なんですよ? 飛行機ではこのようにはいきません」
「そうか、船だから監視や待ち伏せができるのか」
食事のできる設備、トイレ、寝室など、船にはある。
だけど飛行機……軍用機にはそれが無い。
軍用艦船の意外なメリットだ。
そしてほどなくして、電探要員から報告があがってきた。
「惑星Gを越えて、友軍水雷戦隊が接近中です!」
「え? なにしに来たの?」
「私たちが惑星Gの帝国軍をやっつけたので、確認に来たのではないかと……」
副長の乙姫も自信なさげな答えだ。
水雷戦隊は軽巡洋艦を中心に展開する。
その無線通信をひろうことができた。
「旗艦オオトリへ、こちら駆逐艦イカルガ。帝国軍砲台陣地の崩壊を確認」
「こちら旗艦オオトリ。物資集積所も破壊されている」
「こちら駆逐艦タイセツ。現場の様子から6インチ砲弾の痕跡と見ゆ」
「旗艦より各位。第十六水雷戦隊は付近に潜伏しているであろう友軍とともに、接近中の敵輸送艦隊を迎撃する。場合によっては我々が囮となる覚悟であるように」
通信を聞いて、乙姫に目を向けた。
「援軍らしいですよ、麻実也艦長」
「それは嬉しいんだけど、飛行機の餌食になったりしないかな?」
「桜姫とライゾウ艦長がいますから、心配は無いかと」
無敵の防空ペアですから、と乙姫は微笑んだ。
「それよりも麻実也艦長、水雷戦隊といえば魚雷。魚雷の数が増えたと考えれば、心強い援軍と言えるでしょう」
そうかもしれない。
乙姫、桜姫、合わせて魚雷は二十四本しかない。つまりそれ以上の輸送艦が来たら、せっかく待ち伏せしているのに討ちもらしが出てしまう。
物資を受け取る帝国軍は全滅しているけれど、討ちもらしはやっぱり面白くない。
できれば輸送艦隊へのとどめとして、水雷戦隊には戦闘海域を離れた場所で待機してもらいたいところだ。
「暗号で伝えましょうか?」
「解読されてないよね? その暗号」
「わざわざ解読されてる暗号を使う軍隊があるんですか?」
乙姫の疑問はもっともだけど、スミマセン、それは本当にあった軍隊なんです。
通信士が暗号文を打つと、返信があった。
戦闘予定海域を離れて待機しているということだ。
そして惑星Gの帝国軍を討ったことに対して、感謝の言葉も添えられていた。
水雷戦隊が離れていってほどなく、電探に敵航空機が引っかかった。
数は百十機。
訓練でもお目にかかったことのない数だった。




