8・運命の出会い 2
誤字報告、ホンマにおおきに。これからも楽しんで下さい。
ドラゴンに気付いた時、ドララーの祐二の行動は歓喜の声を上げた…ではなく、慌てて森の中へと隠れたのであった。
『マスター、マスターはドラゴンが大好きなのでは?』
ヨンが尋ねた。
「そら大好きだけど、いきなり現れたら警戒するよ! もしかしたら食べられるかも知れないじゃないか!?」
『この世界のドラゴンは、人間と共存する事が多いですが?』
「それでも、あのドラゴンが友好的とは限らないだろ?」
ヨンに対してそう返す祐二。いくらドララーとはいえ、いきなり本物のドラゴンが目の前に現れれば、警戒するのは当然であった。
一方ドラゴンの方は、草原の上空で停滞していた。
「確かこの辺りで、あの爆発音が聞こえたな…此処で『感知』を使ってみよう」
ドラゴンは『探知』のスキルを使用した。
「…下?」
反応があったのは、真下の草原の方からであった。
「降りてみよう」
ドラゴンは草原に降り立つのを決めた。
※ ※
「! 降りてきた…」
草原に降りてきたドラゴンを見て、祐二は呟いた。
「白いドラゴンか…」
ドラゴンを観察する祐二。
体長四m程で胸部と腹部以外全身真っ白の鱗に覆われた体格は、人間と同じ様な体格であり、自分と同じ空色の瞳をしていて、額にはゴーグルを装備しており、後頭部には二本の乳白色の角が生えており、鋭い爪が飛び出た手袋を両手にしていた。どっしりとした両足は草原の大地を踏み締めていた。
「…胸の胸筋も凄いし、お腹も柔らかそう…ヤバい、俺好みのドラゴンだ」
と、些か危ない発言をするが、今の祐二は美少女なので、ギリで問題なかった。
ドラゴンは辺りをキョロキョロと見回して、何かを探している様だ。
「何を探しているんだ? あのドラゴン」
『マスターを探しているんです』
「俺!? ッッ!!!」
ヨンの言葉に祐二は大声を出したが、慌てて口を塞いだ。幸いにもドラゴンには気付かれなかった。
「何で俺を探しているんだ?」
ヨンに尋ねる祐二。
『マスターが、あのドラゴンのパートナーだからです』
「パートナー? 俺が? 何のパートナーだ?」
『竜騎士としてのパートナーです。この世界の神が、あのドラゴンに啓示した様です』
「俺が竜騎士…」
ドララーの祐二としては、自分が大好きなドラゴン(しかも自分好み)のパートナーになれるのは感無量であったが、一つ問題もあった。
「でも待て! あのドラゴンはソレを納得しているのか? 納得していなくて、俺をどうにかしようと考えているのかも知れないだろ?」
『それを問題ない筈です。あのドラゴンは温厚な性格です』
ヨンにそう言われるが、祐二の不安は消えない。その時…
「其処に居るんだろう…」
と、声変わりしていない様な声で、ドラゴンが祐二の方に向かって喋った。
「日本語喋った!? ってか俺の位置バレてる」
『マスターの言語理解は、マスターが転生した際に、この世界に適用する様になっています』
「いや冷静に答えないでよ! ってか今欲しい情報はソレじゃないし! 何であのドラゴンに俺の位置がバレてんの!?」
『あのドラゴンのスキル・『感知』による探索能力です』
「…つまり何処に居ても、バレバレな訳ね…今逃げ出しても…」
祐二は逃走を諦めて、同時に決意した。
「こうなりゃ破れかぶれだ。万が一戦闘になったら、覚悟するしかないな…」
祐二は腰のホルスターから拳銃を取り出して、中のマガジンを取り出すと、アイテムボックスから弾薬を一発取り出して、さっき撃った分をリロードした。そしてマガジンを戻すと、再びホルスターへと拳銃を戻した。
「よし!」
祐二は覚悟を決めて、草原へと足を踏み出した。
「!」
それと同時に、ドラゴンの方も祐二が現れた事に気付いた。
「やあ…」
ドラゴンは穏やかな口調で、話しかけてきた。
それが一人と一頭の、運命の出会いだった。
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