44・ヒナタの考え
日が落ちた団長室に、一人の少女とドラゴンが居た。ヒナタとレオンである。
「ヒナタ。聞かなくて良かったのか?」
「ん? 何や?」
「シャロンの魔法の威力…あれは普通じゃないぞ。はっきり言って…お前並みの魔力があったぞ」
「そうやなぁ…」
「これは俺の考えだが、ヒナタ…お前と同じじゃないか? お前と同じ『チキュウ』という世界から来たんじゃないか?」
「……」
レオンの言葉を聞いて、ヒナタは無言で考える。
「…さぁ…仮にシャロンに聞いても、はぐらかされるのオチやなきっと…彼女が銃を持っているのから、大体が想像がついているけどな…ボクと同じ世界とは限らないけど…」
ヒナタは窓の外から見える、星を見上げながら呟く。
「でも試してみる価値はありそうやな…明日の任務…シャロン達にはゴブリンの駆除を指名する」
「? そんな指名をして何になるんだ?」
「シャロンが持っているのが銃なら、モンスターを倒すのに使うはずや…それをチームの誰かに確認してもらう…上手くいくかどうか分からんけど…」
と、振り向きながらヒナタは言った。
「大丈夫なのかソレ…」
レオンが心配そうに呟く。
「シャロンを除いたあの子らは、ゴブリンやコボルトとの交戦経験や倒すのを経験した事があるし、大丈夫やろ…」
「問題はシャロンが、その武器を使うかだ。あの細長い剣で対処する可能性もあるぞ。それにゴブリン共が居る所迄行くには、ドラゴンに乗るから、あのヨハンってドラゴンにやらせる可能性もあるぞ! その武器を使う事に配慮して」
「それなら大丈夫。予めボクがドラゴンが戦闘せずに、着陸場所で待機の命令を入れておくから…」
「汚なくないか、ソレ」
呆れる様にレオンが言った。
「団長命令や!」
「ズリィ女だな、お前は…」
「そうやねん。ボクはイケずなんや…」
そう言うとヒナタは、背中に背負っていた槍を抜き構えた。
「本音を言うと、ボクはシャロンと戦ってみたいんや…あの子の実力は多分相当なもんやで」
ヒナタの言葉に同意する様に、ヒナタの槍は鋭い光を放っていた。
「!…お前まさか…」
レオンが何かに気づいた様に尋ねた。
「うんそうや…あの子を…シャロンを…今度の副団長を決める大会に参加させる」
ヒナタは、そう静かに呟いたのであった。
「マジか!? アイツはまだ入団したての下級騎士だぞ! 上級騎士は当然ながら、中級騎士すら認めないぞ!」
「確かに普通なら認めないな…でもボクと戦ってから決めるのも遅くはないんやで」
何処とない冷笑を浮かべるヒナタであった。
ヒナタは何を企んでいるのか…。
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