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360・王様が若かったら、そりゃ驚くな… 2

 イージス艦がタイムスリップする某漫画で、スーパーバード衛星通信が壊れたんやけど、衛星が無い世界では、衛星通信装置はガラクタ同然になってまうなぁ。

「シャロン!」

 アベルが声をかけると、車両見ていたシャロンとヨハンとレオンが振り向いた。

「んっ? アベルどうした?」

 シャロンが尋ねた。

「何時の間にか居ないから、探しに来たんだよ。何をしているんだ?」

「此れを見ていたんだ」

 そう言ってシャロンが示したのは、荷台に細い横長の箱の様な物が乗っている高機動車。

「96式多目的誘導弾システムだ」

「自衛隊にしかない兵器か…?」

 アベルがそう呟いた。アメリカには似た兵器が無い為、日本独自の兵器だと察した。

「何か愛着でもあるのか?」

「いや別に…ただ此れ…この世界では使い道が無いなと思ってな」

「? どういう事?」

 ヨハンが尋ねた。

「此れは赤外線を発するモノを攻撃する兵器だ…異世界にそんなの存在する?」

 シャロンがそう説明する。ヨハンは『セキガイセン』というのは知らなかった。三百年も生きているヨハンが知らないという事は、それは即ち『赤外線』は存在していないという事であった。

「…地球の近代兵器も、性能と仕様によってはガラクタ化という事か…」

「衛星システムなんて、衛星が無い過去や異世界に着いた途端、ガラクタ化だからな…」

 アベルの言葉にシャロンがそう続けた。ヨハンとレオンとゲイルは、二人の会話の内容が分からない為、ただ黙って見ていた。

「シャロン様!」

 すると其処に、一人の上級騎士がやって来た。

「どうした?」

「その…何やらジエイタイの兵士が言っている様なのですが、私は言葉が分からないので…」

「分かった。俺に任せろ。案内してくれ」

 シャロンが上級騎士にそう告げると、上級騎士は案内を行い、シャロンはヨハンとゲイルと連れて付いて行った。アベルとゲイルもその後を追って走り出した。


※      ※


 上級騎士の案内で向かうと、ジャンが鹿賀と何か言い合っていた。

「だから、俺はお前らの言葉は分からないっての!」

 自衛隊の言葉が分からないジャンが、苛立ちを込めて叫んでいる。

「どうしたジャン?」

 シャロンが歩きながら尋ねた。

「あっシャロン。何かこのオッサンが言ってんだよ!俺には分かんねぇのに…」

 苛立ちが籠った表情で言うジャンを宥め、シャロンが後を引き継ぐ。

「鹿賀一佐。何かご用ですか?」

 シャロンが声をかけると、鹿賀がシャロンに気付いた。

「ああ君か…実は頼みがあるんだが…」

「何ですか?」

「君達は確か、竜騎士団と言っていたね? なら団長に会わせて欲しいのだが…」

「……」

 鹿賀の要望に、シャロンは少し困った表情を浮かべる。何故なら…

『その団長って…俺なんだけどなぁ…』

 御存じの通り、エルセラ竜騎士団の現団長は六代目のシャロン。そしてエルセラの国を統治する王でもあった。

「おいシャロン…どうするんだよ…」

 アベルが小声で声をかける。アベルからすれば、『団長は目の前に居るだろ』と思うが、自衛隊側からすれば、まさかシャロンの様な少女が、この竜騎士団の長とは想像も出来ないのであろう。

 シャロンは少し考えて、決断をする。

「分かりました。案内するので、此方へどうぞ」

 シャロンは城内へ連れていき、団長室まで案内をする事にした。鹿賀は生瀬を同行者として加えて、シャロンやアベルと共に向かう事にした。尚その際にエリスが気付いて同行しようとしたが、シャロンは竜騎士達の指揮を頼んだのであった。


※         ※


 シャロンはヨハンやレオン、アベルとゲイルと共に、鹿賀と生瀬を連れて城内を歩いて行く。その途中何人かの竜騎士がシャロンに挨拶をしたり、自衛隊の姿に戸惑ったりしていたが、鹿賀達は言葉が分からない為、シャロンの方が上の立場である事に気付くことも無かった。

 そして団長室へと辿り着いた。

「此処が団長室です」

 そうシャロンが鹿賀達に伝える。

「…此処に…この騎士団の長が…」

 緊張を込めた言葉を、生瀬が呟いた。対照的に鹿賀は落ち着いた雰囲気である。

 シャロンは団長室の扉を開けた。

 団長室にはシャロンが使う団長の机と椅子、そして副団長であるアベルとエリスが使う机と椅子、そして備えられたソファーとテーブルが有り、壁際には歴代の団長の写真が飾られている。そして今入ってきたシャロン達以外、誰も居ない。

「? 団長殿は留守かな?」

 鹿賀がシャロンに尋ねる。

「…団長ならさっきから会ってるだろ?」

 ジト目で鹿賀を見ながら、アベルが言った。

「さっきからって…我々はそれらしき人とは会っていないぞ!」

 生瀬が反論する様に言うと、ヨハンが鹿賀と生瀬の方を向いて言った。

「シャロンだよ。この竜騎士団の団長は…」

「…はっ?」

 鹿賀はヨハンの言葉に戸惑い、シャロンの方を見つめた。シャロンは意を決して伝えた。

「そう…俺が此処の長…エルセラ竜騎士団・六代目団長であり、このエルセラの王・シャロン・クサナギだ」

 シャロンの言葉に、鹿賀も生瀬も驚いた表情を見せた。まさか十代半ばの少女が、この竜騎士団の長…そしてエルセラという国を統治する、王であるとは思わなかったからだ。


 遂にシャロンは竜騎士の長である事、そしてエルセラの王である事を伝えた。

 次は『蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君』を書こうと考えておるで♪

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