33・シャロンの試練 3
入浴シーンですが、あんまり期待しないでな。
リリアと共に浴場に入ると、目の前には大きな湯場が広がっていた。
「うわぁー…広いな…」
あまりの広さにシャロンは感想を述べた。
「そりゃそうだよ。だって全下級騎士が入るんだから」
隣に居たリリアが答えた。
「全下級騎士? 中級騎士や上級騎士…団長は此処には入らないのか?」
「そうだよ。其々の浴場があるからね」
「じゃあ少なくとも、風呂場では上の騎士には会わないのか」
「そういう事だね。ああでもレミアから聞いた話では、ドラゴンの方は雄雌階級関係ないしに入るみたいだよ」
「レミア?」
「私のパートナーのドラゴン…ってさっき話さなかったけ?」
「ああ、そういえば…」
シャロンは先程部屋に於いて、皆から自身のパートナーの話を聞いていた。勿論シャロンもヨハンの事を話し、それが噂になっていた白いドラゴンである事に驚かれていた。
「それよりも早く頭とか洗おう。丁度今洗い場空いているし!」
リリアにそう言われて、シャロンは洗い場に行くことにした。
洗い場に着き、備え付けられている椅子に座った。すると目の前に鏡があり、シャロンの姿が映っていた。
『…この世界に来た時に、水で姿を見た以来だな…どう見ても元の姿だった時の面影は残ってないな…』
鏡に映る自分の姿を見て、改めて思うシャロンだった。
鏡の下にはカランと蛇口、容器に入ったシャンプーとリンス、それと固形石鹸が置かれていた。
「髪長いからなぁ…洗うの大変そうだな…」
そう呟きながらもシャロンは、シャンプーの容器から適度な液体を出し、ソレを蛇口から出したお湯と合わせて泡立てると、それをガシガシと頭を搔く様に頭を洗い始めた。
「あーシャロン駄目だよ!」
横に座っていたリリアが叫んだ。
「折角シャロン良い髪しているんだから、もっと丁寧に洗わないと…ちょっと私にやらせて」
「ふぇ!?」
リリアはシャロンの背後に回り、シャロンの髪を丁寧に洗い始めた。
「こうやって丁寧に洗うと、髪も傷まないんだよ」
そう言いながら丁寧に洗うリリアの手の感覚に、シャロンは気持ち良さを感じていた。
「リリア…洗うの上手いな」
「そうかな? シャロンが雑なだけだと思うけど…まるで男の人みたいな洗い方だよ」
「……」
リリアに指摘されて、シャロンは何も言えなくなってしまう。
『まさか、元は男ですとは言えないな…』
そう心の中で呟いたのであった。
※ ※
その後体を洗い終わると、二人は湯船に浸かった。因みに二人の髪は湯船に浸からない様に、タオルで頭に固定していた。
「はぁ~気持ちいい…」
「シャロン。おじさんみたいだよ」
「別に良いじゃんか。それくらい…」
最早開き直るシャロンであった。
「…ところでさリリア。洗い場にあったシャンプーやリンス…アレも団長が用意したのか?」
「そうらしいよ…これは噂なんだけど、この温泉を掘り当てたのは団長らしいよ」
「マジか!? 何者なんだあの団長は…」
ますますヒナタの事が分からなくなっていった。その時…
「おやおや。なんやらボクの話をしているみたいやな?」
「!?」
突然聞こえた声に、シャロンとリリアは振り向いた。其処には…
「ヒ、ヒナタ団長!?」
其処に居たのは、全裸で仁王立ちをしている。団長のヒナタであった。
ヒナタが浴場に登場! 次回どうなる!?
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