32・シャロンの試練 2
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「何でシャロン。お風呂入るの嫌がるの? お風呂嫌いなの?」
「いや別にそういう訳じゃ…」
隣を歩くリリアに、シャロンはそう言った。辺りには同じく入浴を目的とした、女性下級騎士の姿がちらほらとある。
「なあリリア。俺だけ後じゃ駄目か? 出来れば一人で入りたいんだけど…」
「何で一人で入りたいの?」
「いやちょっと…恥ずかしいからさ…」
「何が恥ずかしいの…! 分かった! 裸見られるのが恥ずかしいんでしょ?」
ニヤニヤした表情でリリアが言った。
「…いやまぁそんな所…『んな訳ないだろ! 事実上異性のヨハンにだって、タオル一枚で接したんだぞ俺は…』」
まさか中身は男だとは言えず、口ではそう言いながら、心中では反論しているシャロンであった。
そうしている内に、浴場前へと辿り着いた。
「…腹括るしかないか…」
「んっ? 何か言ったシャロン」
小さく呟いたシャロンの言葉に、リリアが反応した。
「いや何でも…入ろうぜ」
覚悟を決めて浴場へと入場するシャロン。その後をリリアが続いた。
浴場の脱衣所に入ると、既に何名かの下級騎士の女性が居て、下着姿になっていたり、生まれたままの姿の女性も居た。その時シャロンは不思議な事が起きていた。
『あれ? 女の裸見ても、特に過剰反応したりしないな…何でだ? 俺が女になったからか?』
「どうしたのシャロン? 早く服脱ごう」
「あ、ああ…」
リリアに手を引かれて、シャロンは更衣ロッカーの前に行く。
更衣ロッカーは鍵付きの物になっており、それはシャロンが杉村 祐二として生きていた頃、健康ランド等で見た様な物と同じデザインをしていた。
『此れも、ヒナタが作ったのか…』
そうシャロンが考えていると…
「シャロン。その剣どうするの? 此処に入らないよ」
リリアが示したのは、シャロンの腰に差してある、白風であった。白風の長さはとても有り、服と軽めの私物を入れるだけのロッカーにはとても入りそうになかった。
「…大事な物だから、出来るだけ肌身離さずしておきたいんだよな…でも白風を持って風呂入れないし…!」
その時シャロンは、ある事を思い出したのであった。
『アイテムボックスのペンダントが有るじゃないか…でも此処で使ったら騒ぎになりそうだな…迂闊に此処の上層部にバレたら、徴収されそうだしな…』
ラノベ等でアイテムボックスが、世界的に貴重な品であるという認識があるシャロンは、アイテムボックスを使うのを憚られた。その時…
「! あれは」
脱衣所の隅の個室らしき所に、シャロンにはありふれたマークを見つけた。それは…
「トイレのマーク…」
個室の扉にあったのは、トイレのマークだった。
「ゴメンリリア。俺ちょっとトイレ!」
そう一方的にリリアに言うと、シャロンはトイレに向かった。幸いにもトイレには誰も入っては居らずに、シャロンは直ぐに入る事が出来た。
トイレの中にあったのは、見慣れた洋式トイレであった。
「此れも団長が作ったのか…ってそんな事より…」
今はそれ処ではないと判断し、直ぐに考えを切り替える。
「ふぅ…良し此れで…」
シャロンは白風を腰から抜き手に持つと、収納するイメージをした。そして白風はアイテムボックスに収納されていった。
「問題解決だな」
そう言うとシャロンはトイレを出た。
「アレ? シャロン早かったね」
既に下着姿になっていたリリアが言った。リリアの胸は制服の上から見た通り、かなりの大きさがあった。
「ああ…気のせいだったみたい」
「あの剣は?」
「んっ…どっかその辺に隠したよ」
シャロンは適当に誤魔化した。
「…そっか…じゃあシャロンも脱ぎなよ。私待っているから」
リリアに促されて、シャロンは額のゴーグルを外して、制服の上着を脱いだ。
下のシャツを脱いでいくと、サラシに巻かれたシャロンの胸が現れた。
「シャロン! 女性用の上の下着、付けてないの?」
「ああうん…俺ちょっと下着はな…下の下着も男物だし」
シャロンは戸惑いながらリリアに言った。
実はヒナタから制服を支給された時、下着も支給されたのだが、元・男であるシャロンには、女性物の下着を着ける事に、強い抵抗感を感じていたのであった。結局その為シャロンは、上の下着の部分はサラシを巻く事で、下の下着は元のままの下着(元から着ていた下着は、男物であった)で落ち着く事になった。
「シャロンって変なの…制服も男物だし下着も…まいっか」
深く考えない思考なのか、リリアは考えるのを止めた。
「それじゃあ早く脱いで、お風呂入ろう」
そう言うとリリアは、シャロンの目の前で何の躊躇いもなく、下着を全て脱いで生まれたままの姿になった。
「……」
余りにも無防備なリリアに、シャロンは呆れながらも自身も服と下着を脱いで、リリアと共に浴場へと向かった。
騎士団の制服の支給の際、下着等の他に、ゴーグルを所持していない者にはゴーグルを支給したりします。ゴーグルは額に着けるか、首から下げるかの何方かを騎士団員達はしていますわ。その他に短剣も支給していますわ。
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