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319・事実確認

 キャンプ内のテントに案内されたアベルは、用意されたパイプ椅子に座った。

テントに入る際に、鹿賀の副官とおもしき自衛官(襟章から三等陸佐だと分かった)から背中のエアロダンサーや腰のベレッタやコルトパイソン、更にAK47を渡す様に言われたが、アベルは『じゃあアンタ達も、武装解除しろ! 此処は俺達の国内だ! 何処で武器を持っていようが、俺達の勝手だ!』と言い、断固拒否した。

 生瀬は憤った表情を浮かべていたが、鹿賀に宥められて諦めた。

 鹿賀は机を挟んでアベルの前に座ると、口を開いた。

「改めて紹介するが、私は日本という国の、陸上自衛隊の鹿賀一佐だ。こっちは本部隊の副官である生瀬三佐だ」

 鹿賀が生瀬を紹介すると、生瀬は軽くお辞儀をする。

「幾つか聞きたい事があるんだが、構わないか?」

「ああ。俺もアンタ達に聞きたい事がある。まず、アンタ達から聞いてくれ」

 アベルの了承を得て、鹿賀は質問を始める。

「ではまず…君はこの国の竜騎士団…と言ったか? 我々の存在を察知して、駆け付けたのか?」

「いや。この国にある村で土砂災害があってな。其処に支援物資を運んだ帰りに、あんた達のあの『鉄の鳥』みたいな物を見つけて接触したんだ」

『鉄の鳥』とは、ОH‐1の事であり、それがヘリコプターである事も知っていたが、アベルはあくまで自分は異世界の者である為、ヘリコプターの存在を知っているのは、ありえない事なので、あえてそういう風に表現した。

「…では次の質問だ。君の腰に着けている物と手に持っている物、そして外のドラゴンの背中に付いているのは…銃だが…それを何処で手に入れた?」

 鹿賀としては、ドラゴンが存在する世界に、自分達の世界の武器が存在している事は、どうしても見過ごせずにいられなかった。

「…俺が所属している竜騎士団で支給された物だが?」

 アベルはそう答えたが、これは嘘ではない。実際にシャロンがスキルで制作し、全竜騎士に支給しているからだ。

「では何故、その竜騎士団で支給しているんだ? どうやって手に入れた?」

 鹿賀ではなく、生瀬が尋ねてきた。

「さあ? 聞いた話では、大昔に何処からか来た兵士が持っていたのを、何らかの方法で手に入れたって聞いたが? 俺が入団した時には、もう有ったし」

 これに関しては殆ど嘘である。銃を作成出来る能力を持ったシャロンの存在を、部外者に教えたくなかったからである。因みに本当の部分は、『俺が入団した時には、もう有ったし』の部分である。

「そんな答えで納得出来る訳ないだろ!」

 強めの口調で生瀬が言った。

「答えも何も、俺は知らないんだからしょうがないだろ?」

 そっぽ向きながらアベルが言い返す。どうもアベルは、この生瀬という自衛隊員が気に入らない様である。

「生瀬。これは尋問ではない。それに我々の方が彼の国に無断で入り込んでいるんだ。強くは出れない」

「…すいません」

 鹿賀に言われて、生瀬は引き下がった。

「では次に、先程君と一緒に居た、仲間の竜騎士の女の子だが?」

「レイナがどうした?」

「あの女の子の言葉は、全く聞いたことが無い言葉だった。何を言っているのか全く分からない」

「……」

 鹿賀に言われて、アベルはレイナも加納や清水の言葉が分からなかった事を思い出した。

「だが何故君は、我々と意思疎通が出来るんだ? 我々は君の言葉が理解出来るし、君も我々の言葉が理解出来る」

「…さあな。俺だって何で分かるのか、分からないんだ」

 実際これも本当であり、アベル自身もそれは謎であった。

「そろそろ、俺からも質問は良いか? 竜騎士団長に報告する必要があるからな」

 アベルが尋ねると、鹿賀は無言で頷いた。



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