304・共に生きる為に 36
ちょっと急ぎ足になってもうた…。
多分ですが…この次と最後に『登場人物』や『細かい設定』等を投稿したら、『ぼのぼの編』は終了になり、次の章に移行となります予定ですわぁ。
「がぁ!?」
シャロンから放たれる凄まじい威圧に、先程倒れてしまったエリスの他に、アベル迄地に伏してしまった。
「お、おい! どうした?」
急にアベルとエリスが倒れた為、シャロンは『竜の威圧』を発動させたまま、二人に近づこうとした。
「待ってシャロン!」
其処にヨハンが鋭い声で制止した。
「二人はシャロンの『竜の威圧』で倒れたんだ! まずはスキルの解除をするんだ!」
ヨハンの指示で、シャロンは慌てて『竜の威圧』を止める。すると二人はゆっくりと立ち上がってきたが、顔には大量の汗が浮かんでいた。
「悪い、二人共」
シャロンは軽い気持ちでスキルを使ってしまった為、アベルとエリスに謝罪した。
「いや…俺も軽々しく『使ってみろよ』なんて言ったからな…」
アベルはまだ辛そうにしながらも、シャロンを責める様な事は言わなかった。
「でもシャロン様…今の…もの凄い力でした…あれが竜人になった、シャロン様の力なんですね」
エリスはシャロンの『竜の威圧』に対して、そう感想を述べた。
「ああ…もっとも俺は力が欲しかったんじゃなくて、ヨハンと共に生きる為に、竜人になったんだ…」
「それってどういう事ですか? そもそもシャロン様は何故竜人に…?」
エリスがそう質問した。アベルもその事が気になっていたらしく、興味がある様な素振りを見せていた。
「…実は…」
シャロンは全てを話すことにした。
※ ※
「じゃあお前は、ヨハンと共に長い時間を生きる為に…竜人になったのか?」
「そうだ。呆れたか?」
「いや。寧ろ普通だと思った」
アベルの呆気ない返答に、シャロンは拍子抜けする。
「お前がドララーだってのは、嫌になる程知っているからな。ぶっちゃけドラゴンそのものになったとしても、俺は違和感なく理解出来るぞ?」
あまりにはっきりと言うアベルに、シャロンは呆れてしまう。
「ではシャロン様は…もうお歳を取らない…そういう事ですか?」
対照的にエリスは、何処となく落ち込んだ様子を見せる。
「いや…歳を取るのが、人間より遅くなるだけだと…思うぞ?」
シャロンはそう返したが、実際には分からない。何故ならこの世界のドラゴンは、寿命で死ぬことは稀であり、大体は事故か病死、または戦死が殆どである。だから実際には不老不死なのではないかと考えている。
「…あんまり複雑な事は分からないですが、シャロン様が竜人になったとしても、私はシャロン様の事を愛しています!」
恋人のヨハンが居る前であるが、エリスは堂々とシャロンに想いを伝える。
「うん…ありがとな…正直照れるけどな…」
照れ笑いを見せるシャロンに、エリスは極上の微笑みを浮かべた。普通ならドキッとする表情だが、此処に居るメンツはエリスの性別を知っている為、特にドキッとしない。
「シャロン。他に新しいスキルは無かったの?」
今までシャロン達の様子を見ていたヨハンが、そう尋ねた。
「…そういえば、『竜の力』が『Lv1』から『Lv2』に上がっていたな…! もしかして能力が上がって、俺は遂にドラゴンになれるのか!?」
憧れていたドラゴンの姿になれるかと考え、シャロンは興奮する。
「よし! 今度は『竜の力』を使ってみるぞ!」
先程とは違い、『竜の力』は直接危険性のないスキルの為、使用に躊躇は無かった。
「行くぞ!」
シャロンは、『竜の力Lv2』のスキルを使ってみた。
「…どうだ? 翼以外に何か変化したか?」
翼が出ているのは分かっているシャロンは、ヨハンを見て尋ねるが、ヨハンは何も答えない。
「? おいアベル、エリス。俺はどうなっている?」
今度はアベル達に尋ねてみる。
「いや…お前…頭…」
「頭?」
シャロンは自身の蒼銀の髪がある、頭に触れた。
ゴリッ
何やら固い物に触れた。後頭部に二本の長い物を感じた。
「此れ…まさか…角?」
シャロンがヨハンを見て呟くと、ヨハンは頷いた。
「うん…僕の角とそっくりな角が…」
「あの…シャロン様…おし…いえ、腰の辺りに…」
すると今度はエリスが、何かを伝えてきた。『おし』という言葉が気になったが、腰の辺りを触れてみると…今度は弾力のある長いモノに触れた。振り返って見てみると…。
「…尻尾だ」
それはドラゴンの尻尾であった。白くて長い尻尾、ヨハンの尻尾にそっくりである。
「…まさに竜人だな」
シャロンがそう呟いた。
纏めると『竜の力Lv2』は、今まで出た翼の他に、二本の乳白色の角と白い尻尾が現れる、半人半竜の姿になるスキルであった。
尚、その後ヨンに確認してもらった所、どうやら翼だけを出せる、『竜の力Lv1』の状態でも発動可能と分かった。
完全ではないですが、よりドラゴンの姿に近くなったシャロン。
本当は能力が上がったシャロンの戦闘シーンを書きたかったのですが、展開重視になった為、またの機会にさせてもらいましたわぁ。ホンマに堪忍。
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