294・共に生きる為に 26
まだ変更内容を完全に決めていませんが、『269・共に生きる為に 1』の日本刀を作るシーンを、変更する予定ですわぁ。理由としては、シャロンの白風とヨハンの蒼銀という、二振りの日本刀を二人だけの武器に、分かり易く言うと二人だけの特権にしたいのと、この先の展開などの為にですわぁ。
それでは本編をどうぞ♪
「…んっ…?」
ふと目を覚ましたシャロン。外はまだ明るい為、先程からあまり時間が経過していない事が、シャロンには分かった。
「…ヨハン?」
体を起こして部屋の中見回すと、先程迄部屋に居て看病してくれたヨハンの姿が、何処にもなかった。因みにルーンはソファーの上で寝ている。
「!」
ふいにサイドチェストを見ると、薬袋の隣に一枚の紙が置かれていた。
『お昼ご飯を取って来るね。直ぐに戻るから』
そうヨハンの字で書かれていた。
シャロンは僅かに空腹とだるさを感じながら、そのまま寝ころんだ。そして首から下がったままである、ドラゴン・ハートから自分のスマホを取り出した。時刻を確認すると、一二時を少し過ぎた辺りであった。
「…暇だな…日本なら此れで、動画かラノベでも見るのに…」
殆ど機能しないスマホを横に置いて、体をスマホとは反対側に向ける。外からは訓練を行っているであろう竜騎士達の声が聞こえてくる。
「…前世では一人暮らしだったから…風邪ひいて仕事休んだら、ベッドでテレビを見るか、スマホで動画やスマホを見ていたけど…此処ではそれも出来ない…ヨハン…早く戻って来いよ…」
妙な寂しさがシャロンを襲う。ふと涙が出そうになる。
「…ヒナタが死んだ時…俺はこの世界で初めて涙を流した…そしてヒナタが帰った時…それが最後にしたんだ…だから…泣かない…」
涙が出そうになるのを、胸元のドラゴン・ハートを握りながら、シャロンは必死で堪える。すると…
ガチャ…
ヨハンが戻ってきた。その両手には盆が持たれており、その上には器とスプーンが乗っていた。
「…ヨハン…」
シャロンが体を起こした。
「あっ、シャロン。ごめん、起こしちゃったかな?」
「いや…少し前に起きたんだよ…」
「…食べる?」
盆に乗った器を見せながら、ヨハンが尋ねる。
「…ああ」
※ ※
「あーん」
「…自分で食えるぞ?」
用意された昼ご飯はスープであり、ヨハンはスプーンでよそって、シャロンに差し出す。
「シャロンは体調を崩しているんだから、甘えて良いよ」
「…俺は何時もお前に甘えていると思うが…」
そう言いながらも、シャロンはヨハンの優しさを無下にできず、スプーンを口に含んだ。
「美味しい?」
「…体調が悪いせいか、あまり味がしないな…」
元々なのか体調不良のせいか、スープはあまり味がしなかった。それでも最後まで完食し、シャロンは薬を飲んで横になった。
「なあ…ヨハン…」
「うん?」
ヨハンの顔を見つめるシャロン。また熱が出て来たのか、顔が少し赤い。
「今…俺の体って…竜人に変化しているんだよな…?」
「うん…ヨンがそう言ってたよ」
「…ヨハン…もし一緒に生きれるなら…俺とずっと一緒に居てくれな…」
風邪でメンタルが弱っているのか、ヨハンが僅かに居なかった間に感じた寂しさを感じて、シャロンはそんな事を言ってしまう。
「勿論だよ。僕はずっとシャロンの傍に居るよ…ずっと愛しているよ…」
優し気な微笑みで、ヨハンは安心させる様にシャロンに告げる。それに対してシャロンは、はにかんだ様な笑みを浮かべる。
「…じゃあさ…少し甘えて良いか…?」
「うん。どうしたいの?」
「…キスしてくれないか?」
「…良いよ」
そう言うとヨハンは、そっとシャロンの口に、自分の口を近づけた。
チュ…
触れるだけのキスだったが、シャロンは満足そうな笑みを浮かべる。
「ありがとな…ヨハン…また…寝るな…」
そう言うとシャロンは、目を閉じて規則正しい呼吸しながら、静かに眠りに就いた。
ヨハンはシャロンの頭を撫でて、傍らの椅子に座って見守る事にした。
風邪の時に一人になると、結構メンタル弱くなる人も居ますよね…?
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