286・共に生きる為に 18
一週間連続投稿や!
最近は捕食描写ばかりなので、一休みと言う事で、今回は捕食描写無しの魔物退治ですわぁ…但し皮肉なオチですわぁ…。
今回は懐かしいキャラクターが出ます! ってか読者の方々は100パー忘れているでしょうなぁ…。
その日シャロンは気晴らしに、城での仕事や訓練を行わずに、ヨハンと共にエルセラの街の外へと向かって、街中を歩いていた。
「シャロン。今は大丈夫なの?」
シャロンの後ろを歩いているヨハンが、心配そうに声を掛ける。
「ああ。何時も衝動に襲われている訳じゃないからな。今は大丈夫だ」
今現在落ち着いているのは本当の為、シャロンはそう伝える。
「でも、何時起きるか分からないんだよなぁ…」
「もし起きたら、直ぐに言ってね。僕の血をあげるから」
「真昼間にお前の血や肉を摂取したら、他の竜騎士に見られるだろ…」
ヨハンの気遣いはありがたいが、そんな所を他の竜騎士に見られたら、確実に問題になる。
「シャロン…もしかして、今の僕らの関係は…?」
「言える訳ないだろ…竜人になろうとしている事すら、アベルにもエリスのも言ってないんだからな」
もし竜人になる事を話したら、その過程まで話さなくてはいけない…だからシャロンは誰にも言えなかった。
「でも僕…遠回しだけど、レオンに…」
「…マジか?」
既にレオンが勘づいている事に、シャロンは驚いた。
「…まあレオンなら、不用意に誰かに言ったりしないか…」
「それでシャロン。外に出てからどうするの?」
「そうだな…とりあえず魔物でも、適当に探して倒すとするか」
シャロンはそうヨハンに伝えると、ヨハンを連れて街の門の方へと歩き出した。
※ ※
穏やかな空をヨハンが飛んでいた。その背中にはシャロンが乗っている。因みに今回は、Ⅿ(キャリバー)2(50)を装備したジャケットは装備していない。
シャロンはヨハンの後頭部の角を掴みながら、辺りを見回した。今回はルーンを連れていない為、自分の視力で探している。
「さてと…ハーピィみたいな、空を飛んでいる魔物は居ないかな…?」
「余程知能が低くないと、僕の姿を見て逃げるんじゃない?」
シャロンの言葉にヨハンがそう返した。確かにドラゴンに挑むというのは、余程の自信家か考え無しの無謀者である。
「まあそうだよな…んっ?」
その時シャロンは、三時の方向に四体のドラゴンが飛行しているのが見えた。
「ヨハン。あっちにドラゴンの群れが居る。エルセラの竜騎士か他の竜騎士、若しくはフリーランスの竜騎士か、相方の居ないドラゴンが分からないが、近づいてくれないか?」
「了解!」
シャロンの指示を受け、ヨハンが四体のドラゴン達の方へと飛んでいく、ドラゴン達に近づくにつれて、その背中に人影が有るのが見えた。そしてその中に見覚えのある顔があった。
「シャロン様!?」
「あれ? 何でシャロン様が?」
「リオラと…リドール?」
見覚えのある二人、それはリオラとリードルという中級騎士であった。その二人は嘗てシャロンがエルセラ竜騎士団に入る際に勧誘した、ウェンリルと共に居た竜騎士達であった。
当初は二人の方が、階級は上であったが、今ではシャロンの方が上になってしまった。
「どうしてシャロン様が、此処に居るんすか?」
相方のドラゴンの上に乗っているリードルが聞いてきた。
「偶には気晴らしに魔物退治をしようと思ってな。最近は書類仕事と模擬戦ばっかりだし」
そうシャロンが答える。
「お前達は何しているんだ? 見た所そっちの二人は下級騎士みたいだが?」
リオラとリードル以外の二人は、白いマントを羽織っている為、下級騎士である事が分かり、シャロンが尋ねる。
「私達も魔物退治です。この二人は数日前に入団した為、訓練を含めて同行させています。シャロン様、宜しかったら新人団員の為に、模範を見せていただきませんか?」
リオラの言っている模範。それは魔物退治を新人に見せつけてほしいという意味である。
「良いぞ。目的は同じ様なものだし。ただ俺の戦い方で参考になるか分からないぞ?」
「大丈夫です! シャロン様、宜しくお願いします」
まだ十代前半とおもしき、ロングソードを背負った竜騎士が懇願した。
「よし分かった…んで、何の魔物を倒しにいくんだ? ゴブリンか? フォレストウルフか?」
シャロンが尋ねると、リードルが答えた。
「グリーン・インセクトっス! この前旅の商人が、ここら少し行った所の林で、見かけたと言っていたので」
グリーン・インセクト…その名前を聞いたシャロンが、念の為に尋ねた。
「グリーン・インセクト…って…確か…巨大な蟷螂…だよな?」
「そうっスよ!」
平然と答えるリードル。
すると黙って聞いていたヨハンが、首を曲げてシャロンを見た。その表情は心配そうな表情である。
「…嫌な皮肉だな…」
ヨハンにしか聞こえない声で、シャロンが呟いた。
懐かしいキャラは、リオラとリードルでした!
前話の最後の蟷螂のくだり、まさかの次の話にリンクしていましたわぁ…。
本当は戦闘シーンまで、持っていきたかったのですが、量が多すぎるのと時間が掛かる為に、分ける事になりましたぁ…堪忍…。
最近寝不足の為、もしかしたら、明日の更新は出来ないかも知れません。実際はどうかは分からないですが…。




