281・共に生きる為に 13
三日連続の投稿! 何時迄出来るかな…。
今回は…まあ…色々と激しいです…もしかしたら、少し変更するかも知れないですわぁ。
因みに今回の話と此れからの事の為に、あるタグを追加しました。
そのタグは…『捕食』です。
それと今回の話の辻褄合わせになってしまいますが、『74・登場人物』のヨハンの項目で、ユニークスキルの所に、『痛覚無効』と『自動回復』を追記しましたわぁ
「いやちょっと…待って…喰え…って…ヨン…何言って…」
頭を抱えて混乱するシャロン。ヨハンはその様子を黙って見ている。
ヨハンは大切な相棒であり、大切な親友であり、そして大切な最愛の存在である。そのヨハンを食べろという、ヨンは答えを示した。
「他に…無いのか?」
『マスターが寿命を延ばす方法は、此れしか存在しません。マスターが竜人になる事…それが寿命を延ばす方法です』
淡々と答えるヨン。
「…仮にその竜人になったら、俺はどうなるの? 人間辞めるって言ってたけどさ、具体的に俺が竜人になったら、姿も変わるのか?」
『基本的には変わりません。見た目は人間のままですが、一部分に変化が生じます』
「……」
一体どのように変化するのか、シャロンは興味と不安を感じていたが、それ以上に問題点があった。
「でもだからって…ヨハンを…喰え…って…出来る訳…ないだろ…」
『経口摂取と言っても、ヨハンの体の一部に傷を受けてもらい、そこから摂取すれば大丈夫です。マスターはヨハンを全て食べると想像しているみたいですが…』
「何だ…全部喰えって訳じゃないのか…でもそれでも俺は、ヨハンを傷つけて…」
「良いよ、シャロン」
其処に今まで黙っていたヨハンが、遮る様に言った。
「ヨハン?」
「言ったでしょ? 僕はシャロンの為なら、どれだけ負担を掛かっても構わないって…だからシャロン…僕の細胞を…食べて…僕はシャロンと共に…生きたい」
「ヨハン…」
自分の想像以上のヨハンの覚悟に、シャロンは嬉しさと申し訳なさを感じてしまう。
「ヨン。僕には『自動回復』のスキルもある。そのスキルは一時的に停止出来る?」
ダメージを短期間で回復してしまう、『自動回復』のスキル。此れはシャロンを会得しているが、元々はヨハンが持っていたスキルを、ヨハンと契約した際に会得したである。
『可能です。こちらで停止させます』
「そっか。このスキルだと、僕が自分で自傷してもすぐに回復してしまうからね」
ヨンの言葉を受けて、ヨハンは安堵の声を漏らす。
「ヨハン…本当に良いのか…?」
「うん!」
再度確認をするシャロン。そのシャロンにヨハンは笑顔で応じた。
「…分かった…」
シャロンは覚悟を決めた。
※ ※
仄かな灯りが灯る部屋で、ヨハンはソファーに座り込み、その腹部にシャロンが背中から寄り掛かる様に体を預けている。
何時は背中に背負っているロンギヌスは、壁際に立て掛けてあり、蒼銀の髪を結んでいるリボンは、机の上に置かれており、その横には愛刀の白風と団長の証の、赤いマントも畳まれて置かれている。
更に少し離れた所には、ヨハンのマフラー付きの金の首輪が置かれていた。
これからする事で、汚れるのを防ぐ為だ。
「じゃあヨハン…頼むぞ?」
見上げながらシャロンが見つめる。首に掛かっている筈のドラゴン・ハートは、エルセラ竜騎士団の制服の内側にしまわれている。
「うん」
ヨハンは自分の左手の手袋を外して、手首の辺りに右手の爪を近づけた。
シャ!!!
爪を当てると思いっきり引っ搔いた…そして其処から、ヨハンの体の中に流れる、赤い血が外部に流れ出てきた。本来なら痛みを感じる所であるが、ヨハンは『痛覚無効』のスキルも所持しているので、痛みは全く感じない。
「さぁ…シャロン…」
ヨハンは血が流れる左手を、シャロンの顔の前に差し出した。
「……」
シャロンは無言で、ヨハンの血が流れる傷口を見た。至近距離にある為に、血の匂いが鮮明にシャロンの鼻を突いてくる。それでもシャロンはヨハンの想いを無駄にしない為に、傷口に口を付けた。
「…ジュル…んっ…チュウ…ふっ…」
流れ出るヨハンの生命の証…それをシャロンは少しずつ口に流し込む、そしてある程度口に溜まった時…
「…ゴクリ」
その血を喉に流し込み、体の中に取り込んだのであった。
…ドクンッ!
「!?」
その瞬間、シャロンの体に異変が起きた。
『…何だこれ…? 俺の体が…いや…俺の細胞が…ヨハンの細胞を取り込んでいる…?』
シャロンが感じた異変…それは熱い興奮と感じた事のない快楽であった。
『俺の細胞が…ヨハンの細胞を…欲しがってる…もっと…欲しい…』
そう思った瞬間、シャロンはヨハンの左手に両手を添えて、激しく血を飲み始めた。
「ジュルジュル! ジュルル! んぐっ…ゴク…ジュウウ…」
激しく血を飲んでいくシャロン。その頬は赤く染まっており、瞳は潤んでいた。完全に興奮と快楽に支配されている。
『もっと…飲みたい…ヨハンの細胞…欲しい…ヨハンの血…美味しい…気持ち良い…熱くて…たまらない…』
ヨハンの細胞を取り込みたいという願望と、無尽蔵の快楽に包み込まれていた。
「……」
ヨハンは必死になって自分の血を飲み、自分の細胞を取り込んでいるシャロンを、ただ穏やかに見つめていたのであった。
一応言っておきます…シャロンはヨハンの血を飲んでいるだけです! 細胞を取り込んでいるだけです! まさかTS吸血鬼のサクラより先に、此方で吸血描写を書く事になったとは…。
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