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268・シャロンを愛する者達 2

 エリスはヨハンと何を話すんか…?

 ドラゴン用のベンチの隣にある、人間用のベンチに腰を掛けるエリス。その脇にツインサイズを置いた。

『と言っても…私、何を話せば良いのでしょう…』

 会話に挑んだは良いが、何を話せば良いのか分からないエリス。

「ラティスは…今日は一緒じゃないの?」

「えっ!?」

 急に話しかけられて、エリスは驚いた。

「ラ…ラティスはその…今日はアティスさんと一緒に、街に出ています。今日は特に外に行く任務も無いので…」

 これは事実の為、エリスは正直に話した。

「そうなんだ。そういえばエリスは、シャロンの事は『様』付けで、僕やそれ以外の人は、『さん』付けで呼ぶけど、どうしてラティスだけ、呼び捨てなの?」

 以前から疑問に思っていたのか、ヨハンはそう尋ねてきた。

「…実は最初にラティスと会った時は、『さん』付けで呼んでいたのですが、ラティスから『パートナーなのに、他人行儀はおかしい。呼び捨てで構わない』と言われて、ラティスには敬称を付けていないんです」

「そうなんだ…」

 静かに理解するヨハン。エリスはそんなヨハンに、不安と緊張…そして恐怖の様な感情を抱いている。エリスからはヨハンが何を考えているのか、全く分からない。だがエリスは意を決して、ヨハンに話しかける。

「あの…ヨハンさん…」

「んっ? 何かな?」

 ヨハンは優し気な声で返事をする。

「今更ですけど…ヨハンさんは…シャロン様と愛し合っていますよね…?」

「うん、そうだよ…僕はシャロンを愛しているし、シャロンも僕の事を愛してくれる」

 ヨハンは嬉しそうに答える。

「…ヨハンさん的には…私の事をどう思いますか?」

「? どうって?」

「ヨハンさんからしたら…私は自分の恋人に手を出す、やっかいな相手ですよね? なら私は…ヨハンさんにしたら、敵なのでは…?」

 こんな事を聞くのは失礼だと分かっているが、エリスはそれでも自分に対してのヨハンからの印象を気にせずにはいられなかった。

『例え…シャロン様に嫌われても…』

 その覚悟を決めるエリス。

「…エリスはどう考えているかは知らないけど、僕はエリスの事は敵とも思ってないし、嫌いですらないよ?」

「…えっ?」

 何てこともない口調で返すヨハンに、エリスは戸惑った。

「エリスはシャロンにとって恋人だけど、大切な仲間でもあるでしょ? その仲間を嫌う事なんて、僕は絶対にしないよ」

「ヨハンさん…」

「エリス。君がシャロンの事を信じ続けてくれる限り、僕は君を敵視しないよ。だってシャロンにとっての仲間は、僕にとっても仲間だからね!」

「…ありがとう…ございます…」

 目頭が熱くなる様な感覚に襲われながらも、エリスはヨハンに感謝の言葉を述べる。

「…あっ! これは負け惜しみじゃないけど…僕はもう既に…シャロンと交わったから…」

「?…!!!」

 最初は意味が分からなかったエリスだが、その言葉の意味を理解して赤面する。

「な、な、な…何を言って…」

 パニック状態になるエリス。

「その様子だと、そこまでの関係ではないみたいだね…」

「当り前です!」

 流石のエリスも怒る。尤もそれはヨハンの言葉が原因なのか、先を越された事による嫉妬心なのかは分からない。

「まあ、僕が言いたいのは…シャロンにとって、最愛の存在は僕だけど、君の事も愛しているのは、本当だと思うよ」

「分かっています…私がどれだけ愛しても、シャロン様が最も愛しているのは、ヨハンさんなんですから!」

 エリスの言葉を聞くと、ヨハンは笑い、エリスもそれにつられて笑った。

 尚、その日の夜にシャロンにこの話をヨハンがした際に、最初は和やかに聞いていたが、『交わった』事を話した際に、滅茶苦茶に怒ったのであった。


 次回はいよいよ、『ぼのぼの編』最後の話ですわ。最後も長いですけど、皆さんよろしゅう頼みます!

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