26・団長との邂逅 2
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『この少女が…団長!?…』
シャロンは内心驚いていた。団長と呼ばれた少女は、今の自分と大差変わらない年頃に見えたからだ。驚きながらもシャロンは警戒を緩めず、肩のルーンも毛が逆立って警戒している。
「ところで、君が新入団員なんか?」
団長‐ヒナタ‐は尋ねた。
「…はい、シャロンです」
白風の柄から手を離しながら、シャロンは答えた。
「そんな堅苦しくせんでええよ。ボクは団長のヒナタ。エルセラ騎士団の騎士団長及び、このエルセラの長をやらせてもらっとるんや」
ヒナタからそう紹介されるシャロンであったが、そのヒナタに色々と疑問を持っていた。
『この娘…どう見ても日本人にしか見えない…言葉も関西弁だし…おまけにボクっ娘かよ』
「んっ? どないした…? あっ! まさかボクの美貌に見惚れてしもうたか? 照れるわ~」
何も返事をしないシャロンに、ヒナタはからかう様な言葉を述べる。
「団長、この子は女の子ですよ」
呆れるような口調で、ウェンリルが言った。
「分かっとるって! 悔しいけど、僕より大きな胸しとるから、男の娘って訳じゃなさそうやな」
「…その『オトコノコ』っていうのが、よく分からないですが…」
ウェンリルは謎めいた感じになっていたが、シャロンは違かった。
『男の娘って、俺が住んでいた地球の言葉じゃないか…このヒナタっていうのも、俺と同じ転生者なのか…?』
そう思案するシャロン。
「まあ、レオンから念話で情報を聞いていたし、早速だけど騎士団服に着替えてもらうかな?」
そう言うとヒナタはソファーの陰に置いてあった紙袋を取り、シャロンに手渡した。
「それに入っているから着替えてな。多分サイズ的には合っている筈やから…それにしてもウェンリル、君はスケベやな?」
「はっ?」
「女の子が着替えようとしているのに、そないな所に立っとるなんて」
ヒナタに言われて、ウェンリルは慌てて団長室を出て行った。
「ほなシャロン、服着替えてな」
ヒナタに促されて、シャロンは袋の中の服を取り出した。
「うん?」
それは赤色の騎士団服であり、下の部分はスカートになっていた。
「…あのすみません、団長」
「ん? なんや?」
「これって女性用の服ですよね?」
「まあそりゃそうやろ。だってシャロン女の子やろ? 今は何か妙に男っぽい服装やけど」
「…俺に合う、男性用の服ってありますか? 俺スカートはちょっと…」
「なんや、女の子の服嫌いなんか? 変わっとるな…まあええわ。ちょっと待っててな」
そう言うとヒナタは、壁際にあるクローゼットの様な所を開けて、中を探し始めた。待っている間シャロンは、部屋の中を見回した。すると…
「んっ?」
壁際に立てかけてある、大きな槍が目に入った。
『デッケェー槍…まさか彼女が使うのか? 俺の白風と同じ様に、あのレオンってドラゴンと契約した時に現れたのか…?』
「ボクの槍、カッコええやろ」
何時の間にか戻っていたヒナタが言った。その腕には青色の服が収められていた。
「ええまあ…それ、男性用の服ですか?」
「そうや。下はズボンやけどホンマにええんか?」
「良いです。その方が助かります」
シャロンはそう言って、ヒナタから騎士団服を受け取った。
「じゃあ着替えてな」
「えっ? 此処でですか?」
「別にええやろ? ボクも君も女の子やし」
ヒナタはそう言うが、シャロンにしてみれば違かった。
『…俺確かに今は女の子だけど、元は三十過ぎたオッサンだぞ…それなのに十代頃の女の子に着替え見られるのは…』
シャロンは抵抗があったが、このままでは不審に思われると考え、仕方なくヒナタの前で着替える事にした。
※ ※
「ウェンリル。入ってええよ」
室内からヒナタの声が聞こえ、ウェンリルは中に入った。すると其処には、青色の騎士団服とズボンを身に纏った、シャロンが立っていた。
「アレ? 何で男性用の制服なんですか?」
当然の事ながら、シャロンの服装が気になるウェンリル。
「何か女子の制服着るのが、嫌やみたいでな。まあ気にせんといて」
ヒナタにそう言われて、ウェンリルは取り合えず気にしない事にした。
「じゃあウェンリル。シャロンを団員が暮らす部屋に案内したってや」
「分かりました」
そう言うとウェンリルは、シャロンを従わせて団長室から出て行った。残されたヒナタは思案していた。
「何かあのシャロンって子…妙に親近感あるな…オマケに腰に着いていたアレ…銃…やん」
その呟きを聞いた者は居なかった。
関西弁で喋る団長・ヒナタ登場。
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