225・異世界の飲酒可能年齢は、日本の法律では測定出来ないのだ
某銀髪侍の漫画の様なタイトルになってしまった。
今回の話は続くかどうか、まだ未定ですわ。
ホントはアベルの話にするつもりでしたが、急遽この話になりましたわ。
『蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君』は何故か人気が出へん。出来れば其方もお願いしますわ。
その日も人仕事を終えたシャロンは、夕食を食堂…ではなく、エルセラの街中の食堂で食べようと、街中を移動していた。偶には外で食べようと思い、城を出て来たのであった。因みにルーンは、ベッドで丸くなっている。
「何時も食堂の飯と携帯食ばっかだもんな…リーマン時代の仕事帰りの牛丼が懐かしい」
前世で散々食べた、安い・早い・美味いの牛丼も、今のシャロンには懐かしい味で食べたかった。
やがて一軒の居酒屋の様な飲食店を見つけた。
「此処が良いかな」
そう言いながらシャロン、店の扉を開ける。
「いらっしゃ…シャロン様!」
店員が接客しようとした時、来店客がシャロンだと知って驚いた。
「本店にお越し下さったのですね!」
「まあな。席、空いているか?」
「どうぞどうぞ! 此方に!」
店員の愛想の良い案内を受けながら、シャロンは店内を進もうとする。すると…
「あれ? シャロン?」
其処にテーブルに着いた客から、呼び捨てで自身の名を呼ぶ声が上がった。エルセラに於いてシャロンは、王の様な存在であり、殆どの人々は『シャロン様』と敬称付けで呼ぶ…そのシャロンを呼び捨てで呼んだのは…
「ポール、トーマス、ジャン!」
其処に居たのは、嘗てシャロンがエルセラ竜騎士団に入った時に、チームを組んでいた三人だった。この三人を含めた一部の仲間達は、シャロンが呼び捨てで呼ぶ事を許可している。
「何だ。シャロンも此処に食べに来たのか」
トーマスが眼鏡を上げながら言った。
「偶には外で食べようと思ってな。お前ら三人も、此処に来ていたのか?」
「此処には俺達、良く来るんだよ」
ジャンがシャロンに答える。
「そうか。何かこのメンバーで集まるのも、久しぶりだな」
「シャロンは団長。僕らは上級騎士になったから、色々と会うタイミングが無かったからね」
ポールが答える。
「だな…リリアはどうした?」
此処に居ない最後の一人・リリアの事を尋ねた。
「誘ったけど、リリアはレイナ達と過ごすって」
そうポールが答えた。
「そういえば、エリスがレイナと飯食いに行くって言ってたから、其れにリリアも便乗したんだな」
そう言うとシャロンは、ふと待っている店員を見た。そしてポール達が着いているテーブルには、あと一人は座れそうであった。
「俺は此処で良いよ。三人も構わないか?」
シャロンが尋ねると、三人は頷いて承諾を得ることが出来た。シャロンは空いている席に座った。
シャロンは店員に料理を注文すると、店員はメモを取って厨房へと向かった。
「何だシャロン。お前はコレを注文しなかったのか?」
店員を見送ったシャロンに、ジャンが話しかける。
「何だよ、コレって?」
「コレだよ」
そう言って差し出したのは、コップ…というより、シャロンの前世で良く見かけた飲み物の入れ物…ジョッキに似た物であった。そしてそこから漂ってくる匂い…
「お前コレまさか…酒か!?」
「ああ、そうだぞ」
当たり前の様に言うジャンに、シャロンは怒る。
「お前何やってるんだよ! 酒なんて飲んで!」
「? 何怒ってるんだよ?」
ジャンは何故怒られているのか分からない様だ。
「俺らまだ未成年だろ! それなのに酒なんて飲むなよ!」
シャロンは前世では三十過ぎであったが、今世では十五歳程なので、当然ながら未成年の為に、飲酒はしていなかった。飲酒可能な年齢=二十歳という、日本の法律の為だ。しかし…
「何を言ってるんだよシャロン。この国は十五で飲酒も可能だろ?」
「…は?」
シャロンは一瞬、ジャンの言葉が分からなかったが、直ぐに対応した。
「そんな嘘通じるか!」
「シャロン。ジャンの言っている事は、本当だ」
トーマスがシャロンに言う。
「この国は十五で飲酒が可能…ずっと前から、そうなっているぞ」
「…そう…なのか?」
「お前、この国のトップなのに、そんな事も知らなかったのかよ?」
ジャンが小馬鹿にした様に言った。
「……」
三バカのテンションバカのジャンは兎も角、頭の良いトーマスまで同じ事を言っていたが、どうしてもシャロンは理解出来なかった。
『…ヨン…エルセラは飲酒可能年齢は、十五歳からなのか?』
心の中で、ヨンに尋ねる。
『はい。エルセラでは十五歳にて、飲酒は可能です。三代目団長が定めた法律です』
『…マジかよ…俺だけ知らなかったのかよ…』
エルセラのトップでありながら、知らなかった事に嘆くシャロン。そして日本の法律に囚われていた事にも気付いた。
『此処は外国処か異世界だから、日本と違うのは当然なのに…』
日本の法律という固定観念に囚われていた事に、反省するシャロンであった。
さて続けるか…。
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