22・竜騎士団への勧誘 1
短いですけど、区切りの良い所なので、全部やると長くなってしまうので…(文章とか投稿する間とか)
「……」
ウェンリルは一五m程先に居る、ヨハンとそれに乗るシャロンを見つめていた。
「白いドラゴンに、蒼銀の髪の少女…村長の情報にあったとおりだ」
ウェンリルは一人呟く様に言った。
「ウ、ウェンリルさん…」
「? どうした?」
リオラが苦しそうな声を出すので振り向くと、紫のドラゴンに乗るリオラが真っ青な顔で居り、そのリオラが乗る紫のドラゴンも、何処か苦しそうであった。
「すみません…あの少女…」
「? あの女の子がどうかしたのか?」
隣で茶色のドラゴンに乗っているリードルが聞いた。
「…もの凄い魔力を感じて…立っていられません」
リオラは今にも倒れそうであり、紫のドラゴンもバランスを崩して落ちそうだった。
「あの少女が…? 分かった。少し地面で休め! リードル、フェドロ! リオラ達の介抱をしてやれ」
「了解ッス」
「分かりやした」
ウェンリルから指示を受けると、フェドロと呼ばれた茶色のドラゴンは、紫のドラゴンを支えるようにし、地上に降りて行った。
「さて…ベクタ。相手に警戒されない様に、ゆっくりと近づけ!」
「分かった」
ウェンリルを乗せたベクタは、ゆっくりとヨハンに近づいて行った。
※ ※
「…茶色のドラゴンが紫のドラゴンを支えながら地上に降りて、紺色のドラゴンが、こっちにやって来る」
シャロンがヨハンの肩越しに言った。そう言いながらもシャロンは、ホルスターのソーコムピストルの安全装置を外していた。
「やあ、今日は! 俺はウェンリル。このドラゴンはベクタ。『エルセラ竜騎士団』の竜騎士だ」
ウェンリルはシャロンに警戒されない様に、穏やかな口調で名乗った。
「俺はシャロン。ドラゴンの名前はヨハン。そしてコイツはカーバンクルのルーンだ」
「カーバンクル!? 幻の幻獣じゃないか」
「そうみたいだね。とある所で出会ったんだ」
「そうなのか…」
会話をしながらも、お互いの事を観察している二人。そしてウェンリルが切り出した。
「聞きたいことがある。此処から離れた村で盗賊の襲撃があったんだが、それを通りすがりの竜騎士が倒したらしいんだが…その竜騎士は白いドラゴンを連れていたらしいんだが…それは君の事か?」
「……」
その答えに、シャロンは念話でヨハンと話した。
『どうするヨハン? 正直に俺らだって事を話すか?』
『大丈夫だと思うよ。ウェンリルという人間もベクタってドラゴンも、悪い奴には見えないし…』
ヨハンに言われて、シャロンは話すことにした。
「そうだけど。偶然通りかかったら、盗賊に襲われていたから、俺が何とかした」
「そうか。なら良いんだが…次に村の住人達が言っていた『見えない攻撃』。それは一体何だ?」
「『見えない攻撃』?…!」
一瞬シャロンは何の事だか分らなかったが、直ぐにそれが銃による攻撃の事だと分かった。シャロンは心の中でヨンに尋ねてみた。
『ヨン。何でこの人、銃の攻撃を『見えない攻撃』だなんて表現するんだ?』
『それは、この世界に『銃』が存在しないからです』
『マジか? じゃあ俺は存在しない武器で応戦したって訳じゃないか!?』
不味い事をしたと、シャロンは心底思った。
「『とりあえず、秘密にしておくか…』…それは秘密です。知られると少々面倒なので…」
「…そうか…なら分かった」
そういうウェンリルであったが、表情から見て納得していないのがシャロンには分かった。するとウェンリルが切り出した。
「君に一つ提案がある…我等、『エルセラ竜騎士団』に入らないか?」