211・テラー・オブ・スマイル
ギャグ回ですわ。心を広くして見て下さいな。
「なあ、レオンって笑わないよな」
「…はぁ?」
レオンが怪訝そうな表情で返した相手、それはシャロン…ではなく、アベル、ジャン、レンマの三人(シャロン曰く三バカ)であった。
現パートナーの団長のシャロンは、まだ仕事中であり、副団長のアベルとエリスは、先に休憩を取っていた。
シスコンであるエリスは、姉のレイナと過ごしたいらしく、アベルは仲の良いジャンとレンマと行動を共にした。
すると、三人が休憩しようとした場所には、ヨハンに用のあったレオンが居て、冒頭に戻る訳である。
「急に何だ?」
レオンが尋ねた。それにアベルが答える。
「いやな、ゲイルは真面目だけど、それなりに笑ったりするのに、考えてみたら、俺此処に来てから、お前が笑っているのを見た事ないな…って思ってな」
「…別に笑わなくても、死にはしないだろ。ゲイルが笑うからといって、俺まで笑う必要はないぞ?」
やや呆れる様な口調で返すレオン。
「シャロンだってこの前、『ヨハンは良く笑うのに、レオンは全く笑わない』って言ってたし」
「アイツ(ヨハン)は少し変わっているだろ…それ以前にアイツの場合は、何方かというと微笑みだろ…『そういえば、ヒナタも言ってたな…『何でレオン、全く笑わないねん』って…』」
嘗てのパートナーの事を思い出すレオン。
「なあ、笑ってみろよ。もしかしたら雌のドラゴン達にモテるかもしれないぜ」
「上手くいけば、あのドラゴン好きのシャロンの心も魅了できるかもしれないぞ」
ジャンとレンマも、悪ノリして言ってくる。
「別に俺は恋愛に興味ない…シャロンもドラゴン好きだが、アイツの心を手に入れているのは、ヨハンだろ…何か俺の体に魅力を感じているみたいだが…」
自身が着ている、黒いジャケットから見える胸筋と腹部に、見惚れていたシャロンを思い出しながらレオンは言うが、三人は諦めずレオンを見てくる。
「…はぁ…分かった…一回だけだぞ」
諦めたレオンは、一度だけ笑う事にした。
「これで良いか?」
そう言ってレオンは、アベル達三人に笑顔を見せた…その瞬間、其れを見た三人は…小学校が荒廃した未来に、タイムスリップした漫画の様な顔になった…。
「「「うわぁぁぁ!!! でたぁぁぁ!!!」」」
まるで恐ろしい怪物でも見た様な声を上げる三バカ。
「何だお前!? 何て恐ろしい顔を見せるんだよ!?」
「俺達は『笑顔』を見せろって言ったんだ! 誰が恐ろしい顔を見せろって言ったんだよ!?」
「何処をどうしたら、それが『笑顔』になるんだ!?」
アベル、ジャン、レンマが大批判する。
「お前ら…『笑顔』をやらせておいて、何だよその言葉は…」
紅い瞳で睨みつけながら、レオンは低い声で呟く。
「んっ? 何しているんだ? お前ら?」
其処にやってきたのは、シャロンであった。
「…何かこいつ等が、俺の笑顔を見たいって言ってきたから、見せてやったんだ」
レオンが簡単に説明する。
「レオンの笑顔か? 俺も興味があるな。レオン、見せてくれないか?」
何も知らないシャロンが、無邪気に求める。
「わぁぁ馬鹿! 見るんじゃねぇ!!!」
あまりの恐怖を感じたアベルは、必死で止めようとする。
「何だとコラ! 誰が馬鹿だ! 何でレオンの笑顔を見たがるだけで、馬鹿呼ばわりしなきゃいけないんだよ!!!」
些細な事で馬鹿呼ばわりされた事に、シャロンは激怒しアベル達に方に歩いてくる。そして…
「「「ギャアア!!! やめぇ…ひぃぃ!!! わぁおお!!! キャホホホ!!!」」」
三バカトリオの悲鳴が、エルセラの城中に響き渡った。
「…もう俺は、人前では笑わん…」
そう呟くレオンであった。
レオンの笑顔はどれ程恐ろしかったのか…。
因みにレオンの笑顔を見た時の反応は、元になったシーンで実際にあったのを参考にしましたわ。
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