200・ヒナタの告白
200話に到達しましたわ♪ 皆さんも応援のおかげですわ。でも今回の話は、少々いかがわしいですわ…大丈夫かなホンマ…。今回もヒナタの話ですわ。過去の話とはいえヒナタが登場しますわ。
「なーシャロン」
団長室の机で書類仕事をしているヒナタが、シャロンの方を見て呼んだ。
「何だよヒナタ」
応接用のソファーで、ヒナタの仕事を手伝っているシャロン。当然ながら当時のシャロンは副団長であり、まだ髪は結んでおらず、青いマントを着けている。
「…ちょっと…立ってこっちに来てくれへんか?」
「? まあ良いけど…」
書類を机に置いて、シャロンはヒナタの傍まで行った。
「それでな…ボクに背中を向けてくれへんか?」
「?」
「頼むわぁ」
訳が分からなかったが、シャロンはヒナタの言うとおりにする。
「ヒナタ、一体何をやらせようと言うんだ…?」
ギュ…
「!?」
突然ヒナタがシャロンを、背中から抱き締めた。
「オイ…また何時ものセクハラか? お前他の女性団員にもしているだろ?」
そう言いながら振り返るシャロン。すると其処には…熱を込めた黒い瞳でシャロンを見つめて抱き締めるヒナタが居た。
「ヒナタ…?」
どうしたのか思い、尋ねるシャロン。
「シャロン…ボクな…君が好きやねん…」
シャロンの腹部に手を回しながら、熱の籠った口調で告白したヒナタ。
「いやヒナタさ…今の俺は女だぞ?」
お互い愛を誓い合ったヨハンは当然ながら、告白してきたエリスも、見た目は美少女ながら男の娘であった為、転生して美少女になったシャロンは、複数の存在と恋仲という、ある意味ハーレム状態であったが、相手が男性という事でセーフであったが、ヒナタは女の子であった。
「前世の俺なら年齢は兎も角、性別は男性だったらセーフだけど、今の俺は女だぞ?」
再度そう言うが、ヒナタは腕を離す処か、体を擦り寄らせてきた。
「ええよ女の子でも…ボクにとっては、そっちの方がええんや…」
「お前…まさか…」
「気づいた? ボクは女の子が好きやねん」
「……」
シャロンは無言で驚いていた。世の中には同性を好き好む嗜好が存在していて、シャロンは嘗て、杉村 祐二として日本で生きていた時、TVや映画で見た事があったし、自身が好んでいるラノベやネット小説でも見たことがあった。
だがそれが、転生して美少女になった自身に関わるとは思わなかった。
『まあ一応俺は、TS転生しても中身は男のまんまだから、ある意味ではヨハンやエリスとの関係も、同性愛になる事になるよな…』
ある意味では自身も、ヒナタとは変わらない事に気付くシャロン。
「今までお前が、女の子の体触ったり、着替え覗いたりしたのは、そういう意味だったからか?」
「うん、そうやねん。ボクは女の子好きやからな…大阪に居た頃から、ボクは女の子にしか恋愛感情を抱けなくてな、男の子から告白されても、好きにはなれへんかったんや」
マント越しのシャロンの背中に、額を擦り付けながら言うヒナタ。
「お前気付いてないかも知れないけど、結構エルセラ竜騎士団の男性竜騎士からは、人気があるんだぞ」
シャロンが告げる。
ヒナタ自身は自覚しているか不明だが、シャロンや他の竜騎士から見ても、ヒナタはかなりの美少女であり、この世界では珍しい黒髪・黒い瞳の容姿に、見惚れている竜騎士も多数存在していた。
「うん? その割には告白してこんな…」
「竜騎士団長という、高嶺の花だからじゃないか…? っていうかいい加減離れろよ。何時まで抱き締めているんだ?」
シャロンはヒナタを振り払おうとしたが、ヒナタはガッチリと掴んでいる為に離れない。流石にロンギヌスというデカい槍を振り回している為、見た目に似合わない馬鹿力の様だ。
「ええやんか。中身はオッチャンのシャロンも嬉しいやろ? 本来ならJKの胸に服越し&背中越しに触れられるんやから…」
『…エリスとあまり変わらない、絶壁スタイルだと思うぞ…』
男の娘であるエリスと、大差ない感じを思うシャロン。
「今何か、メッチャ失礼な事考えてへんか?」
察したのか、ヒナタが尋ねる。
「いや別に…良いから、離れろって!」
「嫌や! シャロンの体メッチャ柔らかいし、髪とか良い匂いするやん…ヨハンは、こんなシャロンの体を堪能しておるんやな」
「俺はヨハンはモノだから、当たり前だろ。だから別にヨハンが、俺の体を触ったって構わないし」
「レオンとは大違いやな、アイツはボクが誘っても素っ気ないし…そういやシャロン、一つ聞いてええか?」
シャロンの肩に顎を乗せながら、尋ねてくるヒナタ。
「何をだよ?」
「ヨハンとは…したんか?」
「なっ!?」
あまりの内容に、シャロンは赤面する。
「ば、馬鹿野郎!!! んな事女の子が尋ねんな!」
「怒らんでもええやろ。耳に響いたわ…その反応やと、どっちか分からんな…」
「どっちでも良いだろ!」
「じゃあ仮にやったという事にしておくわ…ならボクも味見してええやな…」
そう言うとヒナタは、シャロンのお腹に当てていた手を滑らせ、ズボンのベルトのバックルに触れて、音を立てながら外そうとする。
「馬鹿!」
慌ててシャロンは、ヒナタの手を叩いて止める。
「シャロンも何時までズボンのままなんや。他の女の子みたいにスカート履けばええのに…シャロンのスカートを履いて、裾から出た生足やスリットから見える太股も見てみたわ」
「お前の欲望の為に、俺に女装させんな! いい加減離れろ!」
シャロンは藻掻くがヒナタは離れずに、それ処かヒナタは、太股をシャロンに押し付けて、まるで絡まる様にしてくる。
「ほらシャロン。可愛い美少女の生足やで?」
誘惑する様にしてくるヒナタ。
「いい加減に…しろ!!!」
「んぎゃ!?」
遂に振り払われたヒナタは、変な声を上げながら倒れる。
「ハアハア…とんでもない娘だな、お前は!」
「なんやねん…美少女が折角誘ってやってるのに、素っ気ないな…」
上半身を起こし、頬を膨らませながら言うヒナタ。
「別にボクは、シャロンになら何されても、構わへんで…ホラ、スカートの中見せたる…」
そう言ってヒナタは、只でさえ短いマイクロミニのスカートの裾を引っ張っていく…黒い布が一瞬見えた瞬間、シャロンはヒナタの手を掴んで止める。
「…お前これ以上やると、レオンに言いつけるぞ…」
やや脅しながら言うシャロン。慌てて立ち上がるヒナタ。
「待ってな! レオンのお説教はホンマに堪忍!」
「だったら人を揶揄うな! もう俺の書類の方は終わったから、自室に帰るぞ!」
そう言ってシャロンは、団長室を出て行こうとする。
「…なあシャロン」
「何だよ?」
振り返らず答えるシャロン。
「ボクは本気やで…ホントにシャロンの事が好きなんや…ボクは何時でもウェルカムやからな!」
「…俺が一番愛しているのは、ヨハンだ」
そう言ったのは、そう言えばヒナタが諦めるかと思ったからだが、ヒナタはそれに答えなかった。
シャロンはそのまま団長室を出て行き、ヒナタは苦笑しながら見送った。
ヒナタはホンマにシャロンが好きやったんやろな…。でもヒナタスケベすぎや! シャロンにはヨハンが居るのに!
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