20・竜騎士達
短いですわ。ブックマークが『黒猫の騎士』と並びましたわ。おおきに
シャロンがヨハンに文句を言っている時より少し時間を遡り、シャロン達が居た村の酒場では、とある話が話題になっていた。
『自分達を助けた竜騎士は、依頼した竜騎士団の竜騎士じゃなかった』
「あの竜騎士は、俺達が依頼した竜騎士団の連中じゃなかった!?」
「でもあの『見えない攻撃』は、竜騎士団の連中だから出来たんじゃないのか?」
「あれだけ強ければ、無所属何てありえるのか?」
「だとしたら…一体彼らは何者だったんだ…」
※ ※
同時刻、村の村長の家には、三人の男女が村長と共に居た。その彼らの服装は、額にゴーグルを掛けており、胸に紋章が絵が描かれた服を着ており、内一人の男性は黒いマントを羽織っており、残りの男女二人は灰色のマントを羽織っていた。三人の腰には、其々違うデザインの剣を帯びていた。
「蒼銀の髪をした女の子と、白いドラゴン…村長間違いないか?」
黒マントの男が、村長に尋ねた。
「ええ、間違いありません。特徴的でしたので良く覚えています。何でしたら、村の者に確認してもらっても構いません」
「いや、それには及ばない…村長少し席を外してもらって構わないか? 部下達と少し大事な話をしたいんだが…」
「は、はい。分かりました」
村長はそそくさと部屋を出て行った。
村長が出て行くと、灰色マントの女性が口を開いた。
「『見えない攻撃』をして、見たことがない細長い剣を持った蒼銀の女の子の竜騎士と、その相棒らしき白いドラゴン…ウェンリルさんはどう思いますか?」
ウェンリルと呼ばれた黒マントの男は、こう返した。
「どうも何も、女の子の方は兎も角、白いドラゴンなんて見た事ないぞ。少なくとも俺達『エルセラ竜騎士団』には一頭も居ない」
「俺は、女の子の方が気になりますね」
もう一人の灰色マントの男性が口を開いた。
「村長が言っていた、『見えない攻撃』ってのが気になるな…捕らえられた盗賊達の傷跡を見ると、丸い傷が出来てたし…弓矢でもあんな傷にはならないでしょ?」
ウェンリルに灰色マントの男が言った。
「確かにそうだな…一応団長には連絡しておくか…リオラ、団長に連絡と下級騎士の派遣を要請してくれ」
「分かりました」
そう言うとリオラと呼ばれた女性は、四角い奇妙な箱の様な物を取り出し、精神を集中しはじめた。
「ウェンリルさん、団長への報告は分かるッスけど、何で下級騎士の要請迄するんすか? 盗賊の連行なら俺ら三人とドラゴン三頭で十分でしょ?」
「まあ待てリードル。俺達の本来の役目の『盗賊の殲滅』は、謎の竜騎士によって果たされた…なら今度は、その竜騎士を探す事だ。負傷した盗賊の連行は、下級騎士でも十分だ」
ウェンリルはリードルと呼ばれた男性に言った。
「追加の任務すか!? 面倒な事になったッスね~」
リードルは面倒くさそうに言った。
「団長の許可も得ずにいいんスか? 団長は兎も角、副団長が怖いっスよ」
「それなら問題ない。団長は『強そうな竜騎士と出会ったら、スカウトしろ』って言っていたからな…俺個人としても、『見えない攻撃』をする、謎の竜騎士が気になるしな…」
「ウェンリルさん。団長に連絡終えました」
リオラがウェンリルの言葉を終えるタイミングを待って報告した。
「一応我々が、謎の竜騎士を追跡する事は報告しておきましたから、副団長にも伝わるはずですから、問題ないと思います」
「分かった。俺の勘では、謎の竜騎士は恐らく村を出た後、盗賊のアジトへと行った筈だ。恐らく戦利品を手に入れる為にな…リードル、リオラ。これより我々は蒼銀の髪の竜騎士と白いドラゴンの後を追う」
「はい」
「へいへい」
リオラとリードルは、其々返事をした。
「良し。行くぞ」
ウェンリルはマントを翻しながら部屋を出て、リオラとリードルもその後に続いた。
竜騎士達三人の名前は、思いつきで名付けましたわ。