189・決意の決断
あれ…この物語の公式CPは、シャロン×ヨハンの筈なのに、シャロン×エリスの方が、多くなっている気がする…。
「んっ…」
朝の陽ざしを感じて、シャロンは目を覚まし、体を起こした。
「あっ、シャロン様。おはようございます!」
と、既に起きていたエリスが、自分の髪をブラシで梳いていたが、シャロンが起きた事に気付き、挨拶をした。
「ああ、おはよう。今日はお前の方が先に起きたみたいだな」
「流石に二日続けて、シャロン様より後に起きるなんて出来ませんから」
そう言うエリスに、シャロンは苦笑を浮かべると、枕元で寝ているルーンの横に置いてある、青色のリボンを手に取って、髪を結ぼうとした。
「シャロン様! 宜しければ、私が髪を梳いてあげましょうか?」
エリスが自分の髪を梳いていたブラシを、シャロンに見せながら尋ねた。
「…そうだな。じゃあお願いするか?」
「はい!」
シャロンがリボンで結ぶのを止め、髪を梳わせる為に、背中をエリスに向けた。エリスはシャロンの背後に近寄り、ゆっくりとブラシでシャロンの蒼銀の髪を梳き始めた。
「…シャロン様の髪って、凄く綺麗でサラサラしていますね…」
髪を梳かしながら、エリスがウットリとした表情で言う。
「まあな。と言っても、この髪にしたのは、俺じゃなくて、この姿を作った神なんだけどな」
「シャロン様の白い肌と合っていて、とても美しいですよ」
「……」
手放しに誉めるエリス。そんなエリスにシャロンは、少々悪戯を思いついた。
「なんならエリス。これから毎日、俺の髪触ってみるか? お前は俺の恋人なんだから、触る権利はあるぞ?」
「えっ!? ま、毎日だなんて…」
シャロンからは見えないが、エリスは顔を赤くして戸惑っている。
「まあ毎日ってのは冗談だけど、俺の髪に触りたかったら、何時でも触っても良いからな」
「はい…」
エリスは静かに頷いた。
※ ※
髪を梳かし終えたシャロンは、リボンで髪を結び、まだ眠っているルーンを頭に乗せ、エリスを連れて、前日の夜は酒場として使用されていた、食堂へと足を進めた。
「よう、おはようさん」
すると其処には、既にアベルが来ていた。
「アベル、おはよう」
「おはようございます」
二人はアベルに挨拶をして、アベルと同じ席に着いた。
「朝一で悪いが…考えは出たか?」
シャロンが朝食を宿の従業員に頼みながら、アベルに尋ねた。
「…あれから一応考えたけど…まず俺が聞きたいのは、シャロン。お前自身は俺に来てほしいのか?」
アベルがシャロンの顔を見ながら尋ねた。シャロンは辺りを見回して、他に客が居ない事を確認して答えた。
「…本音を言えばそうだな。国は違うとはいえ、お前は俺と同じ地球出身だからな…同じ世界出身者としては、一緒に行動した方が、何かと良い事だと思う…。けどそれは、俺の考えだ。俺の考えをアベルに強制させるつもりはない!」
シャロンはアベルの顔を見ながら告げ、エリスはそれを黙って見ていた。
「…実はな、俺はこの世界に来て、ゲイルと出会った後、日本のラノベとかにある冒険者ギルドで冒険者になろうと考えていたんだ。けど実際聞いてみりゃ、この大陸にはギルドは無く、代わりに竜騎士団があるって話じゃないか…だから俺は決めてたんだ…竜騎士団に入ろうかと」
「アベル…良いんだな? 俺達エルセラ竜騎士団に入れば、昨日の様な戦闘…即ち、相手を殺す事も多くなるんだぞ?」
シャロンが確認する様に尋ねる。
「俺の国アメリカは、お前の国日本と戦争をした後も、多くの国と戦争をしてきたんだぞ? 戦争をする覚悟なら、元日本人のお前より、ある方だと思うぞ…それでどうなんだ? 団長さん? 俺をエルセラ竜騎士団に迎い入れるのか?」
今度は試す様な口調で、アベルがシャロンに尋ねる。
「…ふん。ならその覚悟…俺達(エルセラ竜騎士団)で見せてもらおうじゃないか!」
強気な笑みを浮かべながら、シャロンは言った。
「宜しく頼むぞ、アベル」
「任せろ、シャロン」
シャロンとアベルは手を握り、握手をした。その様子をエリスは、穏やかな笑みを浮かべながら見ていた。
アベル、エルセラ竜騎士団入り果たしましたわ。
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