１８１・ボス達との戦闘 ８
一ヵ月も掛かった割には、短いですわ…。
「フゥ…」
切断され死亡したガチムチの死体を見ながら、ヨハンは息を吐いた。そして赤い血が流れる左手を見つめて手袋を外す。其処には血に塗れた噛まれた痕跡のある、鋭い爪が生えた左手があった。
「大丈夫か、ヨハン？」
シャロンがボスと対峙しながら尋ねた。ボスはガチムチが倒された事に動揺している。
「大丈夫だよ、シャロン。ホラ、傷も直ぐに治ったし」
先程と同じ様な事を言いながら、ヨハンはシャロンに噛まれた箇所を見せた。すると傷は煙を上げながら治っていった。スキルである『自動回復』の効果である。
「でも、この手袋はもう駄目だね…エルセラに帰ったら、新しいのを貰おう…」
そう言いながらヨハンは、牙の痕が付いた手袋を嵌めなおす。
『…やっぱり、ヨハンはカッコいいな…』
思わず見惚れるシャロン。
『マスター、戦闘中です』
ヨンから注意を受ける。
「分かってる…」
シャロンは、残されたボスの方を振り向く。
「さて、御覧の通りに、アンタの相方はヨハン…俺のパートナーが倒してしまった…これで、降参するなら、命までは取らないけど、どうする？」
シャロンがボスに尋ねる。
「ふ、ふざけるな！！！ 此処まで来て引ける訳ないだろうがぁ！！！」
ボスはそう叫んで、武器を構えて突撃してきた。
「……」
シャロンは無言で溜息を吐いて、白風を構えた。そして走り出した。
ザンッ…！！！
シャロンとボスが擦れ違った時、斬撃音が響き渡った。
「……」
シャロンは無言で、白風を鞘にしまった。
「…！！！」
一方ボスの方は、目が飛び出るのかと思う位、目を見開いた。そして…音も無く崩れ去った…。
ボス達との戦闘は、此れにて終了ですわ。
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