165・ロクザルの問題 2
なかなかやる気と文章が浮かばずに、一日空きましたが、1のその続きですわ。
家の中を案内されるシャロンとエリス。エリスは小声でシャロンに話しかける。
「シャロン様。この炭鉱都市からの依頼って、ありましたっけ?」
「いや無かったな…第一そんな依頼があったら、それ込みで此処に来ている」
「じゃあ、私達と入れ違いになったという事でしょうか?」
「恐らくな…」
そう話している内に、警備兵はある部屋の扉の前で立ち止まった。
「此処に町長とギルドマスターが居る」
そう言うと警備兵は、扉をノックした。
「町長。エルセラ竜騎士団の方々が参りました」
「おおそうか。入ってくれ」
「失礼します」
中から男性の声が聞こえて、シャロンとエリスは部屋へと入室した。
部屋の中には、恰幅の良い中年男性とガタイの良い中年男性が、向かう形で椅子に腰を掛けていた。
「おお、エルセラ竜騎士団の方々ですな! 私がこのゼクセルの町長をしています」
恰幅の良い中年男性が、自己紹介をした。
「私はこの炭鉱都市の鉱山ギルドのマスターをしている者だ」
ガタイの良い中年男性も名乗った。
「エルセラ竜騎士団団長のシャロンです。此方は副団長のエリス」
シャロンはそう自分達を紹介した、厳密にいえばエリスはまだ副団長ではないが、エルセラに帰還すれば、正式に任命する予定なので、そう紹介した。
シャロンの自己紹介に、町長とギルドマスターは驚いた表情を見せた。
「なんと! まさか騎士団長と副団長が来て下さるとは。やはり依頼を出して良かった」
町長はそう言うが…
「町長。実は我々は依頼で来たのではないのです。それ以前にエルセラには、その依頼は届いていません。恐らく我々と入れ違いになったものかと…」
「…では、なぜこの街に…」
「新たな装備の資材として、この街で取れる鉱石が必要なので、それを買い取りに来たのです」
「では、私に用があったのかと?」
ギルドマスターが言った。
「ええ、買取の交渉をしたいのですが?」
シャロンが尋ねると、ギルドマスターは困った表情をして、町長と顔を見合した。
「…? 何か問題でも?」
「いえ実は…これはまだ街の住人には言っていないのですが…この街に大勢力の盗賊団が向かっているのです」
「何だって!?」
シャロンは驚き、声を上げた。
「それで、その盗賊団を何とかしてもらうと、エルセラ竜騎士団に依頼したのですが…」
「成程…それでその盗賊団は、あとどれくらいで、このゼクセルに辿り着きますか?」
「2・3日といった所でしょうか」
「…2・3日かぁ…今頃エルセラに依頼が届いていれば、依頼を受けた竜騎士達が、一日か二日くらいで此方に駆け付ける筈です」
「おおっ、それは心強い! これで街は救われます!」
町長が歓喜の声を上げた時であった。
「町長!」
警備兵の一人が、ノックもせずに入り込んできた。
「何事だ!」
「大変です! 盗賊団の軍勢が、此方に向かって来ます! その数は約二千程です!」
「!!! そんな馬鹿な! 昨日受けた報告ではまだ数日は掛かる筈では!?」
「どうやら、盗賊達の移動速度が、我々の想像を超えていた用です…」
「…なんたる事だ…折角エルセラ竜騎士団に依頼を出して、助けてもらえる筈だったのに…」
愕然とする町長。そんな町長を見てシャロンは…。
「…『ヨン。この街に向かってきている盗賊団は、俺達だけで殲滅出来るか?』」
『マスターとヨハンとレオン。それにエリスとラティスの戦力ならば、余裕で可能です。しかし問題が一つ有ります』
『何だ?』
『この街に滞在している、他所から来た冒険者達のひんしゅくを買います。何故なら冒険者の行動の一つに、盗賊退治があるからです』
『成程…俺達だけで手柄を立てるのは、他の冒険者にとっては面白くないよな…何か良い案は無いか?』
シャロンが心の中でヨンに尋ねると、ヨンは提案をシャロンに伝えた。
「『成程成程…それでいくか』…村長、俺に良い案があります」
「おお、シャロン殿! 何か思いついたのですか?」
「この盗賊団の事は、我々が何とかしましょう!」
「おお、それは頼もしい!」
「ただ、自分達だけでは二千の盗賊団をどうにかするのは、難しいでしょう」
「では、どうすれば…」
「其処で俺の案です」
シャロンは町長に、ヨンが考えた案を伝えた。
「成程! 確かにそれは良い案ですな!」
「では町長、その事についてはお願いします」
「分かりました。警備兵を使って、街中に知らせます」
そう言うと村長は、警備兵に指示を出したのであった。
ヨンが考えてシャロンが伝えた作戦とは…?
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