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11・契約した武器とこれからの事

 ちょっと今回は少し短いですわ。

「そういえば、武器が出てこないな…」

「武器?」

 シャロンが翼を仕舞いながら聞いた。

「僕達ドラゴンと君達人間が契約した時、対となる武器が出て来るはずなんだけど…何処にもないな…」

 ヨハンは辺りを見回しながら言った。

「…もしかして、この中かも」

 そう言ってシャロンが示したのは、アイテムボックスのペンダントであった。

「それは?」

「神から与えられた、アイテムボックス。ヨン、これってどうやって中身を確認するの?」

 ヨンに尋ねるシャロン。

『頭の中でリストのウィンドゥを思い浮かべると、マスターの目の前に表示されます』

「そうか。じゃあ確認」

 シャロンがリストを思い浮かべると、目の前にリストのウィンドゥが表示された。

「あ~やっぱり…『白銀の刀×2』ってのがリストにあるけど、これがそうだろうね。ヨン、どうすれば出せる?」

『リストの物を出すイメージをすれば、出現させる事が出来ます』

「じゃあ出してみるか」

 シャロンはイメージをしてみた。


 ドンッ!!!


「わぉ!?」

 突然目の前に、巨大な白銀の刀が現れた。そのすぐ傍には同じデザインの小さな白銀の刀があった。

「ビックリした…何て巨大な日本刀なんだ…」

 ヨハンと同じ位の大きさの刀は、日本の侍が使っていた、日本刀その物であった。ヨハンは徐にその日本刀を手に取った。

「見たことがないデザインの剣だね…もしかして、シャロンの世界の剣?」

「そう。日本刀って武器…俺が元日本人だからこんな武器が出たのか?」

 シャロンはもう一本の小さい‐それでもシャロンには丁度良いサイズの‐の日本刀を手に取って答えた。

 一方ヨハンは刀を鞘から抜いて、刀身を眺めた。

「綺麗な刀身…こんな刃見たことが無い」

 そう感想を述べるヨハン。そしてヨハンはシャロンを見て言った。

「ねえシャロン。この武器の名前は何にする?」

「名前? そうだなぁ…」

 シャロンは頭を捻って考える。

「白い風…白風…はどうかな? 俺の刀。ヨハンをイメージして考えたんだけど…」

「白風か…良いと思うよ僕は!」

「ヨハンは? どんな名前にするんだ?」

「僕はそうだね…蒼銀はどうかな?」

「蒼銀って…もしかして、俺の髪から?」

「うん…そうだよ。だってシャロンの髪綺麗じゃないか。だからそう名付けたんだけど、ダメかな…」

 ヨハンにそう言われたシャロンだったが、シャロンは別の事にドキドキしていた。

『ヨハン…俺の髪綺麗だって……って何ドギマギしてるんだ俺は? 俺は外見は美少女でも、中身は三十代越えたオッサンだぞ…』

「シャロン?」

 何も答えないシャロンに、ヨハンが訪ねる。

「いや何でもない。良いんじゃないかな? 俺は構わないよ」

 それを言うとヨハンは、嬉しそうな表情を浮かべた。

 その後、シャロンの白風はズボンの左側の腰のベルトに差し込んだ。ヨハンの蒼銀はなんとベルトもないのに、ヨハンの左側の腰にくっ付いた。ヨハン曰く微量の魔力でくっ付いているらしかった。


※           ※


「さてと、契約も無事すんだし、これからどうする?」

 ヨハンがシャロンに尋ねた。

「俺としては、早くこの森から出て、どこか人が居る大きな街にでも辿り着きたいんだけど、ヨハンはどうしたい?」

「僕はシャロンの考えに従うよ…とりあえず、この森から出たいんだね? だったら僕に乗って出れば良いよ」

 そう言うとヨハンは、大きな翼がある背中を見せた。

「乗ってって…もしかして飛ぶって事?」

「そうだよ。シャロンは僕の契約者だからね。無条件で僕に乗れるんだ」

 ヨハンに言われて、シャロンの胸は高鳴った。夢であるドラゴンに乗れるのだから…。

「じゃあお願いするよ」

「うん。じゃあ乗って?」

 そう言うとヨハンは、シャロンが乗りやすいようにしゃがんだ。シャロンはヨハンの脇から体をよじ登り、翼と翼の間で四つん這いになった。

「立っても平気なのに?」

「まだ俺が慣れないんだ」

「すぐなれるよ…じゃあゴーグルを装着して」

 ヨハンに言われてシャロンは、スカイダイビング以降額に着けていたゴーグルを目に装着した。ヨハンの方もゴーグルを装着した。

「それじゃ飛ぶから、しっかり掴まっててね」

 ヨハンの言葉にシャロンは、ヨハンの首元の首輪に掴まった。それを感じ取ったのかヨハンは、翼を大きく羽ばたかした。

「!!!」

 シャロンは強い風を感じて、一瞬目を瞑った。そして再び目を開けると、眼下にはあの草原が広がっていた。その高度は先程自力で飛んだ時よりも、かなりの高度があった。

「じゃあとりあえず、森の出口の方まで飛んでいくね」

 そう言うとヨハンは、翼を羽ばたいて、シャロンが歩いてきた方角と反対方向へと飛んで行った。


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