104・第七チームの過去 6
一方シャロンは、ドラグノフを構えて、そのスコープの先に映る倒れた人物を見ていた。
「どうだルーン。盗賊の反応は?」
「キュイ…キュイイ!」
「そうか全滅か…今俺が倒した奴が、最後の一人だったみたいだな」
そう言うとシャロンは、木の上から飛び降りて着地した。
「シャロン!」
其処にポール達がやって来た。
「どうだお前達、人を殺した感想は?」
「良い訳ないだろ! よくもこんな任務やらせやがったな!」
ジャンが怒鳴りながら言った。
「怒るなって、元々はお前達が銃を欲しがったのが、全ての始まりだろ? それ以前に何時かは誰かを殺す羽目になるんだぞ、エルセラ竜騎士団に所属している限り!」
「それは…」
事実上の話の為に、ジャンは言い返せなかった。
「兎に角…試練は合格だ。約束どおり銃を作ってやる…それよりお前達、服の血は兎も角傷だらけだな…『自動回復』で回復しないのか?」
シャロンが試練の合格を告げつつ、傷が治らない事に気付いた。
「『自動回復』? そんなスキル知らないぞ?」
ジャンが言った。
「??? ドラゴンと契約した時、会得しなかったか?」
「ううん。してないよ」
ポールが言った。
『…ヨン。あのスキルはドラゴンと契約した者全員が、会得するんじゃないのか?』
シャロンは心の中でヨンに尋ねた。
『あれはマスターだから会得したモノです。マスターがヨハンとの契約によって、生み出されました』
そうヨンは返してきた。
「『そうか…俺しか会得してないのか…』…仕方ないな。とりあえずコレでも浴びておけ…『安らかなる微風』」
シャロンが呪文を唱えると、シャロン以外の四人は優し気な風に包まれた。するとみるみるポール達の傷が塞がっていった。
「これ風の回復魔法!? シャロンそんなの使えたの?」
ポールが驚いた声を上げた。
「最近ヨハンから教えてもらったんだ…じゃあ俺は死体の処理があるから、お前達は先に森の外へ出てろ」
「ちょっと待ってくれシャロン」
其処にトーマスが声を掛けた。
「銃を作ってくれるって言ったが、どうやって作るんだ?」
「…材料を集めて、俺がスキルで作るんだ…『…そういえば、必要な素材とかは口で言えば良いのか…若干面倒だな…』」
そう思った時であった。
『マスターの手を、相手の頭に当てれば、必要な素材を教える事が出来ます』
と、ヨンが告げた。
「『成程成程…』…俺がお前達の頭に手を当てれば、必要な素材を教える事が出来るんだ」
「そうか分かった…とりあえず、俺達は森の外で待機しているよ」
トーマスが納得して言った。
「シャロンも早く来てね。副団長だからって無理しないで」
ポールが心配そうに言った。
「無理はしないさ…じゃあな」
そう言うとシャロンは森の奥へと向かい、ポール達四人は森の出口へと向かった。
此れにて過去編は終了ですわ。
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