103・第七チームの過去 5
短いうえに残虐描写もあります。
一方ポールは焦っていた。自身は交戦している盗賊数は減ってきているが、所持している矢も残り少なくなってきた。
「!」
すると五m程離れた所に盗賊が現れたが、ポールの存在には気づいていない様であった。
ポールは木の陰に隠れて、矢筒から矢を抜いて弓に構えた。そして素早く放った。放たれた矢は盗賊の首に突き刺さり、そのまま倒れ込んだ。
「…ふぅ」
ポールが息を吐いた時であった。体に衝撃が走り、持っていた弓を落としてしまった上に倒れ込んでしまった。
「このガキ…よくも仲間をやりがったな…」
其処に現れたのは、盗賊の生き残りであった。盗賊はポールに馬乗りになり、ポールの首に手を掛けた。
「ぐぅううう…」
首を絞められてポールは、苦悶の声を上げる。何か無いかと腰の辺りを探ってみると、腰に差してある、支給品のナイフに触れた。
ポールは咄嗟にそのナイフを抜き、盗賊の首めがけて突き刺した。
「がぁ!?」
首を差された盗賊は、口から血を吐き出し、ソレをポールの顔面に浴びせながら、ポールに倒れ込んだ。
「ゲホッゲホッ…」
首を絞められた事と、血が口に入った事で咳き込みながら、ポールは盗賊の死体を退かして起き上がった。
「ポール、大丈夫!?」
其処に杖を携えたリリアがやってきた。
「…何とか…でも今ので最後の矢が折れてしまった…」
ポールが矢筒の中の最後の一本を見て言った。
「リリアの方は?」
「私は魔力切れ…かなりの数の盗賊を殺したよ…」
「僕もだ…もう終わりにして欲しい…」
ポールが呟いた時であった。
ダァン!!!
「!?」
一発の銃声が、森の中に響いたのであった。
「ポール、リリア!」
其処にジャンとトーマスがやって来た。
「二人共、無事だったんだ」
「一応な…お前らも無事みたいだな…それより今の音…」
ジャンがポールに問いかける。
「うん…シャロンだよね…音がした方に行ってみよう」
「そうだな」
四人は銃声がした方へと走り出した。
何故シャロンは発砲したのか…。
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