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愛したのは宇宙人

作者: 川里隼生

 私は宇宙人の男を好きになった。一目惚れだった。それは彼も同じだったらしい。それから半年ほど、彼の地球探査という名目で同棲生活を送った。私と彼の相性は、体の面でも心の面でも、とても良かったと私は思う。彼もそうだと言ってくれた。


 だが、彼は私と母星との二者のうち、後者を選択した。私を地球に置いて帰ってしまったのだ。彼の星は、地球人には住めない環境なのだと言う。両想いだったのに。中学生で読んだ『ロミオとジュリエット』を思い出した。どうして彼は彼だったのだろう。同じ星に生まれるチャンスすら、私と彼の間には許されなかった。


 初デートと同じ、晴れた土曜日の真夜中。去り際、月の光に照らされて、私は彼にこう尋ねた。『もし私と貴方が同じ星の出身で、他に何も障壁になるものがなかったら、貴方は私を好きだと言って抱きしめてくれたか』と。どう答えられても意味のない質問だった。彼は結局、しばらく見つめ合うだけで、この質問に答えずに去ってしまった。


「だからさー、私にとっては地球人同士で付き合うとか別れるとか、正直興味ないって言うかさー」

「あんたそれ、こんな居酒屋でアタシにする話じゃないって……。もう烏龍茶とか頼もうか?」

 地球からは、今日も月の兎がよく見える。

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