お地蔵さんのロボット
朝がやって来た。
「ドームくん、今日は、お日様が元気いいわ」
「お日様は、いつも同じですよ。空が晴れているだけです」
「お地蔵さんも笑っているわ」
「お地蔵さんは、いつも同じですよ。石ですから」
「お地蔵さんも、話せればいいのにねえ」
「そうですねえ」
「そうだ、お地蔵さんんを、ロボットにすればいいんだわ」
「それは面白いですねえ」
後から声がした。
「それは、いい考えだねえ、あゆみちゃん」
あゆみは振り向いた。隆二だった。
「りゅうじさん、おはようございます」
「おはよう、あゆみちゃん」
ドーム
「おはようございます」
「面白そうだから、作ってみようかな」
「お地蔵さんのロボットをですか?」
「お喋りだけでいいんでしょう?」
「はい」
「だったら、僕にも出来るかも」
「わ~~~あ、すごいわ~~!りゅうじさんは、何でも作れるのね」
「何でもは作れないよ」
三人がやって来た。
よう子
「隆二さん、お待たせ~~。あら、あゆみちゃん、おはよう!」
あゆみ
「おはようございま~~す!」
「じゃあ皆さん、出かけましょうか」
ショーケン
「生ごみに、洗剤を振りかけておいたら、朝、ゴキブリが三匹死んでたよ」
「でしょう!」
「毒餌なんだけど、なんかいいのある?」
よう子
「毒だんごだったら、アース製薬のブラック・キャップ、利きますよ。十二個入って、六百円」
「毒だんご?」
「黒い容器に入っているので、人間には安全ですよ。見たら、すぐに分かります。一年間使えます」
「一年間。それ、いいねえ」
隆二
「フマキラーのホウ酸ダンゴが安いよ、三百円で十八個も入ってる」
「アース製薬も、二百五十円で十六個で売っていますよ」
「フマキラーのは、三種類の形があって、置くときに便利だよ」
「形は一つでいいんですよ」
ショーケン
「まあ、まあ、まあ、まあ!」
あゆみ
「安いんだったら、両方買えばいいんだわ」
ショーケン
「そうだねえ、あゆみちゃん。そうしよう!」
アキラ
「ホウ酸で、ゴキブリは死ぬんだ?」
隆二
「ホウ酸は人間にとっては、ほとんど害のない成分ですが、ゴキブリをはじめとする昆虫には強い毒性を発揮するのです。脱水症状を起こし、やがて死に至ります」
「へ~~~え」
「ホウ酸だけでは、なかなか食べてくれませんんので、食べ物の匂いの誘引剤が混ぜてあります」
「なるほど~~」
「三か月もすれば、誘引剤の効き目が無くなるので、新しいものを置いたほうがいいですね」
「誘引剤が問題なんだね」
「焼肉のタレを垂らすと、効果的なんだそうです」
「へ~~~え」
隆二
「じゃあ、あゆみちゃん。行ってくるね~~」
「行ってらっしゃ~~~い」
あゆみは、いつまでも、寂しそうに手を振っていた。
「行ってしまったわ。さあ、公園に戻りましょう」
「今日は、何をしましょうか?」
「そうねえ、ドームくんの好きなサッカーかな?」
「いいですねえ~~」
「ドームくんは、ずるいわ。手で蹴るんだもん」
「これは足なんです。前足」
「なんだ、そうか」
「じゃあ、ボールを取ってきますね」
「その前に、ドームハウスを回って、お散歩しましょう」
「は~~い!」