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風魔小太郎

きょん姉さんの踊り酔拳の演武は終わった。三人は、倒れそうになるのを、目を閉じて我慢していた。

「皆さん、大丈夫ですか?」

よう子が目を開けた。

「どうやら大丈夫みたいです」

アキラも目を開けた。

「あ~~あ、びっくりした!地震かと思った」

ショーケンも目を開けた。

「凄い!何だ、今のは?」

よう子

「これなら、何もしなくても、相手を倒せますねえ」

「でも、瞬時に攻撃してこられると、駄目なんです」

「でも、大したものだわ~~、びっくりしちゃった」

誰かが、手を叩いて見ていた。

「紅流踊り酔拳ですね」

風魔忍者の風間だった。

「いやあ、お見事!お見事!」

「ありがとうございます。まだまだ未熟者です」

「どなたから、この技を?」

「わたしの父です」

「高田渡先生ですか?」

「はい、そうです。わたしの父です」

「観光地レポーターの高田今日子さんですか?」

「はい、そうです」

「わたしは、風魔忍者の風間杜夫という者です。どうぞよろしく」

「風魔小太郎の風魔忍者ですか?」

「はい、そうです」

「どんなことができるんですか?」

「いろんなこと、出来ますよ。遠当ての術とか」

「どんな術ですか?」

「気合い術です。たとえば、気合いで飛んでる鳥を落とす、とか」

「ええ~~、そんなことが?」

「じゃあ、やってみましょう」

風間は周りを見た。近くの木に、カラスが止まっていた。

「あのカラスを、落としてみせましょう」

風間は、指で印を結んで、奇声を発した。

「キェェ~~~~~ッ!」

カラスは落下した。

「わ~~~、凄い!」

三人も、びっくりしていた。

「あのカラス、死んだんですか?」

「気絶してるだけです」

「人間も、ああなるんですか?」

「風魔小太郎は、人間や馬も倒せたそうですが、わたしには無理ですね。猫くらいなら」

「声で落とすんですか?」

「気で落とすんです」

「き?」

「遠隔気功です。瞬時に、気を相手に送るんです」

「スズメ蜂とかは?」

「昆虫は無理ですねえ、殺虫剤でないと」

風間は笑っていた。

「ときどき、スズメ蜂退治の依頼が、忍者隊・月光に来ますよ。これが、完全武装して、けっこう大変なんですよ」

「そうでしょうねえ」

「ペットボトルに蜂の入り口を作り、焼酎とジュースを入れて、吊り下げておくと、中に入って溺れ死にますよ」

「へ~~え、そうなんですか?それも忍法?」

「昔は、ひょうたんに酒を入れて使ってたみたいです」

「忍術って、合理的なんですねえ」

「そう、忍術は科学なんです」

「スズメバチ、怖いですもんねえ~~」

「刺傷被害が一番多い蜂はスズメバチでです。とくに、秋口の九、十月は繁殖の時期になるため攻撃性が高まり、五メートル以上離れた場所にいても刺してくることがあります」

「怖いですねえ」

「どういうところにいるんですか?」

「土の中、家屋の壁間、屋根裏などの閉鎖的な場所ですね。樹木、崖、橋下などの開放的な場所にも」

「見たら攻撃してくるんですか?」

「見張りのハチが巣の危険を察知した時に、羽音を立てて警戒行動を取ります。威嚇を無視すると一斉に毒針で攻撃してきます」

「威嚇されたら、すぐに逃げればいいんですね?」

「黒い部分のをめがけて刺してくるため、頭部や目を狙われることが多く、とても危険です」

「よく分かりました。気を付けます」

風間は、三人に挨拶した。

「やあ、よう子ちゃん」

「風間さん、久し振り~~」

風間は、ショーケンを見た。

「元テンプターズのショーケンさんですね?」

ショーケン

「そうです。初めまして、どうぞよろしく!こっちは、相棒のアキラです」

アキラ

「どうぞよろしく!」

よう子

「風間さん、どうして、ショーケンさんを知っているんですか?」

「有名ですから、知ってますよ」

「へ~~~え」

「実は、さっき、犬丸さんに聞いてたんです」

「なんだ、そうだったんですか」

「でも、以前から、テンプターズもショーケンさんのことも、知ってましたよ」

「そうなんですか」

「ショーケンさん、テンプターズのヴォーカルって、最初は女性だったんですよね?代役で、ショーケンさんが飛び入り参加して」

ショーケン

「はい、そうです。詳しいですねえ」

よう子

「風間さん、かなりマニアックなことを知っていますねえ」

「実は、僕は、テンプターズのファンだったんですよ。タイガースと違って、男のファンが多かったんですよ」

「そうなんですか」

「野球のタイガースじゃないよ」

風間は笑っていた。気絶していたカラスが起き上がって、大空へ飛んで行った。


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