光のエンジェル
「きょん姉さん、何を買ったらいいのか分からなかったので、おいしそうな弁当があったので買って来ました」
「どんな弁当だい?精進料理とかは、いやだよ」
「勝間屋の幕の内弁当です。それと、無花果」
「はい」出して見せた。
「まあ、いいでしょう」
「取材、どうでした?」
「うまくいったよ。呪いの儀式を撮って来たよ。後で見せるよ」
「どういうところなんですか?」
「キャンプ場のログハウスの豪華版って感じだな」
「このログハウスみたいな?」
「これよりか、ずっといいよ。二階建てで大きいし」
「何人くらいいるんですか?」
「ログハウスが五棟あって、二十人くらいだな」
「電波塔とかは?」
「そういうものは無かった」
「離れたところにあるんじゃないですか?」
「そこまでは分からないよ」
「杉の木に付けたって、アンテナにはなりますからねえ」
「そういうことだ」
「リーダーの名前は、何て言うんですか?」
「山田太郎って言ってた。でも、全員、山田太郎だった」
「全員、朝刊太郎ですねえ」
「なんだい、それは?」
「山田太郎の歌です。新聞少年・朝刊太郎」
「へ~~~え」
「1965年の歌です」
「へ~~~え、山田太郎って歌手が、いたんだ」
「はい」
「まだ、蚊が出て来るんだよ。いやになるよ」
「山ですからねえ」
「殺虫器ってあるだろう、電気で殺すやつ」
「虫の好きな紫外線の光で引き寄せて、電気ショックで殺すやつですね」
「電池式の安いのを売ってたんだけど、駄目かなあ?」
「あれは駄目です。蚊は紫外線には反応しません。動物が発する体臭や二酸化炭素に反応するんです」
「そうなんだ」
「蚊には効きません。無駄です!」
「そっか~~」
「匂いに寄って来ますから、粘着シートのゴキブリホイホイを開いて吊るしておいたほうがましです」
「おまえ、おもしろいこと言うねえ~~。そういうのあったなあ、昔」
「ハエ取り紙ですね」
「今でも、そういうのあるかなあ?」
「虫取り粘着シートは売っていますよ」
「それにするかなあ?」
「蚊の嫌いな超音波で追い払うものもありますよ」
「高野町で売ってるかなあ、そういの?」
「さ~~~あ?売れてると、売ってると思います」
「売れてると、売ってる、、まあ、そういうことだな」
「匂いのある液体を、皿に入れて置いておくだけでも、勝手に入って溺れ死にますよ」
「おお~~~、それはいいねえ!」
「大きな皿がいいですよ」
「今から、蚊取り線香を買いに行こうと思ったけど、今夜は、それで行こう」
「でも、やってみないと分かりませんよ」
「そうだな~~」
「わたしの言ってることは、単にメモリーにある情報ですから」
「そうだな~~、じゃあ、やっぱり買いに行くか」
「わたしが行きましょうか?」
「じゃあ頼むよ。食事してるから。蚊取り線香は、電気のやつじゃあない、煙のやつだよ。ついでに、殺虫剤もな、ゴキブリの」
「はい、分かりました」
「やっぱり、わたしが行って来る。また、発作でも起こしたら、大変だから」
「大丈夫ですよ」
「あんた、ここで休んで、充電してな」
「はい。夕刻は、事故が多いので気を付けて」
「へ~~え、そうなんだ。気を付けるよ」
カラスが、アホ~アホ~と言って鳴いていた。
「あっ、カラスだ。なめやがって!」
「なめやがって?いったいどうしたんだい?」
「昨日、ドームハウスを見張っていたら、カラスが、わたしの頭に止まったんですよ」
「それで、頭に来たわけだね」
「文字通り、頭に来ました」
「友達になりたかったのかも知れないじゃないか」
「カラスと友達なんて、真っ平ごめんですよ」
「物と思ったんじゃないか?」
「わたしは、動くロボットです。動かない物ではありません」
「それで怒ったんだ」
「実に、なめています!」
「ははは、おかしい」
「笑い事ではありませんよ!」
「ごめん、ごめん!」
「わたしたちは、世の中に光を届けている、光のエンジェルです」
「そうだ、光のエンジェルなんだ!忘れずに頑張ろう!」
「はい、頑張りましょう!」
きょん姉さんは出て行った。




