高野山の宇宙刑事アニー
よう子が、涌井いづみに尋ねた。
「鎌倉の警察には届けたんですか?」
「具体的な被害がないと駄目です、と言われました」
「高野山警察なら、精神的被害だけでも大丈夫ですよ」
「そうなんですか?」
「じゃあ、今から行きましょう」
「はい」
ショーケンが言った。
「りゅうちゃんのクルマで行けばいいよ」
・・
約一時間後、戻って来た。
「りゅうちゃん、ありがとう!」
「なんか、凄いことになってるねえ」
「ちょっとね」
「かっこいい婦警さんだったねえ~~、みとれちゃったよ」
「宇宙刑事アニーだったね、ありゃあ」
「あれなら、ぜひ逮捕されたいよ」
「そうだね~~」
「わたしに出来ることある?何でもやるよ」
「空いてるドームハウス、ある?」
「あるよ、三軒。でも、掃除しないと、今すぐは使えない」
「じゃあ、俺たちが掃除するよ」
「わたしも手伝うよ」
「悪いねえ、りゅうちゃん!」
「なあに、親友じゃないか!」
ショーケンは、よう子を見た。
「どうだった、よう子ちゃん?」
「大丈夫でした。受理されました」
「それは良かった!」
「宇宙刑事アニーのような、かっこいい婦警さんでした」
アキラが質問した。
「へ~~~え」
「なんでも、おとり捜査の婦警さんって言ってました」
「おとり捜査?」
「痴漢とかの」
「なるほど」
「美人だけど、武道家の目をしていたわ」
「さすが、よう子ちゃん!で、どうなったの?」
「緊急時のバッジ発信機を渡されました。これです」
「これ?」
「危ない場合には、このバッジ発信機の紐を引くと、直ちに近くの忍者隊・月光が駆けつけてくれるんだそうです」
「それだけ?」
「顔を識別できるロボット犬が護衛につくそうです」
「へ~~~え、いつから?」
「もうじきやってきます」
「男の顔写真、持ってたんですね」
「はい」
「そのロボット犬、何か攻撃能力あるの?」
「噛みつきます。噛みついたら離しません」
「それは凄い!」
「道案内ロボット・ゴンにも顔が認識されて、警察に通報されるそうです」
「おお~~、さすが高野山警察!」
あゆみはアキラを見ていた。
「あゆみちゃん、良かったね~~。ロボットの犬が守ってくれるんだって」
「もう、どこにも行けないの?」
「どこに行きたいの?」
「よう子お姉ちゃんと焼き芋を売りに行きたいの」
「そっか~~~あ」
あゆみは涙ぐんでいた。
よう子が慰めた。
「あゆみちゃん、このロボット犬と、公園で遊んでいなさい。きっと楽しいわよ~~」
「・・・」
「夕方には帰ってくるから」
「うん、わかった!」