表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/103

アル中ハイマー

三時半を過ぎた頃、篠原英子がやって来た。

アキラの目にとまった。

「どうしたの、篠原さん?」

「みなさん、ここにいらしたんですか?」

「うん、朝から」

「明日から、ショーケンさんが紹介したところで、働くことになったんです。で、お参りに来たんです」

ショーケンが喜んだ。

「良かったねえ~~、ひでちゃん!」

「ショーケンさん、どうもありがとうございました!」

「良かった!良かった!」

よう子が来た。

「ひでちゃん、どうしたの?」

「密教瞑想道場の受付が受かったんだって」

「ひでちゃん、良かったわねえ~~」

「みなさんの、お陰です」

「ううん、ショーケンさんが見つけたの」

「ショーケンさん、ほんとうに、ありがとうございました」

「まだ分からないよ。働いてみないと」

ショーケン

「篠原さんは、頭のいい顔してるから、大丈夫だよ」

「うん?」

「受付はねえ、馬鹿な顔じゃあ、馬鹿にされて信用されないの」

アキラ「そうかも知れないな」

ショーケン

「じゃあ、お参りに行っておいでよ。俺たち、ここで待ってるから」

「もう終わったんですか?」

「終わった」

「じゃあ行って来ます」

英子は、五分ほどで戻って来た。

「じゃあ、買い物して帰るか」

「そうしよう」

「ひでちゃんも行く?」

「はい」

「ひでちゃん、お金、大丈夫?」

「今日、難病の支援金が少し入ったんです」

「それは良かったわ」

四人は、スーパー勝間屋に向かった。


スマホを見ながら歩いていた若い男と、酔っ払いの男が、ドンとぶつかった。

「おまえ、どこ見て歩いてんだよ~~、危ないじゃないかよ~~~!」

「おじさんこそ、ふらふらして危ないじゃないか」

二人は、何事も無かったかのように去って行った。

ショーケンは呟いた。

「どっともどっちだな」

「神聖な高野山にも、酔っ払いはいるんだ?」

「そりゃあいるだろう」

「酒のどこが美味いのかなあ?」

「美味いから飲んでんじゃあないんだよ。酔うために飲んでるんだよ」

「酔うために?」

「頭を麻痺させるために」

「そうなんだ?」

「嫌なことを忘れるためにだよ」

「そうなんだ?」

酒を飲まないアキラには理解できなかった。

「変な人達だねえ」

「飲み過ぎると、脳が縮むんだってよ」

「怖いねえ~~」

「アル中で頭がいかれちゃうんだよ」

「アルツハイマーだ」

「そういうのを、アル中ハイマーって言うんだよ」

「上手いねえ、兄貴!」

「いよいよ、高野山病になったかな」

ショーケンだけが笑っていた。よう子と英子は、二人で話していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ