表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/103

回り道でも 道は道

英子が、また、公園で泣いていた。

「ひでちゃん、どうしたの?」

「ときどき、手が震えますって言ったら、そういう人は要らないって、断られたの」

「そうだったの」

「あいつら呪い殺してやりたいわ」

「そんなこと考えちゃあ駄目よ」

「そうだ、幻魔教団に行ってみよう」

「ひでちゃん、そんなところに行っちゃあ駄目よ」

よう子の背後で足音が止まった。

「やあ、君たち、こんなところで、何を話しているの?」

超能力者の犬丸勝だった。彼は英子の目を見ていた。

「ひでちゃん、心が泣いてるけど、どうしたの?」

「面接に行って、ひどいことを言われたらしいの。手が震えるような、そんな人は要らないって」

「身障者って、前もって言ったの?」

「言った」

「薬を飲んでたら大丈夫なんでしょう?」

「そうです。震えません」

「そう言ったの?」

「言った」

「それは、ひどい会社だなあ」

「ひでちゃん、幻魔教団に行くって言ってるの」

英子は泣き出した。

「だって、くやしいんだも~~ん!」

よう子「人を恨んだら、自分に返ってくるわ」

「じゃあ、死ねばいいのね、こんな私なんて」

犬丸勝が静かに語り始めた。

「ひでちゃん、そんなことを言ったら、君を命がけで産んで育てた親が悲しむよ」

英子は黙って聞いていた。

「ひでちゃん、心臓に手の平を当ててごらん」

英子は、彼の言葉に素直に従った。犬丸勝の言葉には、人の心を素直にさせる響きがあった。

「心臓の鼓動がするだろう」

「ええ」

「君の心臓は、君のために、今、一生懸命に動いているんだよ」

「はい」

「力強く動いているだろう」

「ええ」

「だったら、君も生きるために頑張らないと」

英子は、犬丸勝の目を見ていた。

「きっと分かってくれるる人もいるさ。回り道でも、道は道」

英子は立ち上がった。

「犬丸さん、ありがとう!」

英子は、彼に抱きつき、泣き出した。

「英子、頑張る!」

英子は泣き止むと、自分のドームハウスに帰って行った。

よう子は、感心して犬丸勝を見ていた。

「さすが、犬丸さんだわ~~!」

「そう?」

「さすが、心の超能力者だわ」

「元気になってくれて、良かった、良かった」

野菊の花が、初秋の心地よい風に揺れていた。

「犬丸さんって、風みたいな人だわ」

「そげんね?」

「木枯し紋次郎みたいな」

「あっしには関わり合いの無いことで、っか」

「そう、でも、人がいいから、結局は人を助けるの」

「じゃあ、紋次郎みたいに、黙って帰るかな」

言葉通り、彼は黙って去って行った。

「男らしくて、かっこいいわ~~!さすが、九州男児だわ~~」

よう子は、あしたのジョーや木枯し紋次郎のような、風のような男が好きだった。

・・

アキラ

「兄貴の、回り道でも道は道、テレビでやってるよ」

「回り道でも道は道?」

「違ったっけ?」

「それは、ぐでんぐでん。だよ」

「ああ、そうか。この歌、兄貴っぽくて、いいね」

「そうかなあ?ただの酔っ払いの歌だよ」

・・

「SNSみても、いじけた書き込みばっかり・・」

「そうか」

「最近、幻魔教団みたいな、いじけた男が多くなったねえ」

ショーケン

「SNSのせいだな」

「えっ、なんで?」

「情報が多すぎて、自分を見失ってしまうんだよ」

「なるほどね」

「整理できないんだよ、頭の悪いやつは」

「なるほどね」

「ただ、他人と比較して、いじけてしまうんだよ」

「なるほどね」

「特に、若いやつほど、見栄を張りたがるしな」

「そうだねえ」

「あんまりやらないほうがいいぞ」

「でも、いじけた年寄りも多いよ」

「そういうのは、ボケてんだよ。頭が回らなくなってるの」

「なるほどねえ」

「アル中も多いしな」

「な~るほどねえ」

「アルコールの飲み過ぎは、ボケるんだよ」

「止めればいいのにね」

「止められないから、アル中なんだよ」

「これからは、ネット将棋だけにしよう!っと」

「あれだって、相手が人間だか分からないよ」

「えっ?」

「ただ勝ちたいために、ソフトにやらせてるやつだっているんだから」

「そんなやつがいるんだ」

「掲示板に書いてあったよ、ソフトで三段まで行ったって」

「そういうのがいるんだ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ